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訪問介護の見守り的援助

訪問介護職が行う業務には、主に身体介護と生活援助があります。

その内、身体介護の中には、入浴や排泄の介助・体位変換など以外に「見守り的援助」という項目があります。

この見守り援助というのは、介護行為の中でも重要でありながらなかなか分かりづらい行為なのです。

そこでこれから訪問介護職を目指される方向けに、今回、「見守り的援助」について詳しく、できるかぎり最新の情報をお伝えします。

 

見守り的援助とは

訪問介護は利用者の生活を支えるのが目的ですが、0から100まですべてを介護職がやってしまってはいけません。

あくまで利用者の自立した生活を支えることが目的にあります。

そのため、利用者の自立を後押しする観点から、安全には重々配慮しつつも、利用者に寄り添いながら共同で行う支援が訪問時には必要になります。

たとえば、入浴し終えたら自分で出られるように必要時だけ手を添えたり、移動時に転ばないように気をつけながら隣を歩いたりするサービスなどがこれにあたります。

これらは見守り的援助と呼ばれ、自立支援の観点からは必要ではあるものの、身体介護として明記されておらず、業務運営上取り扱いが難しいサービスでした。

 

制度改正で明文化

2018年3月の介護保険制度改正時に身体介護と生活援助の内容を規定したものを通知、公表しました。

その内容に、「見守り的援助」に該当する行為例が8種類追加され、トータル15種類が明記されました。

ちなみに見守り的援助とは、「自立生活支援・重度化防止のための見守り的援助(自立支援、 ADL・IADL・QOL向上の観点から安全を確保しつつ常時介助できる状態で行う見守り等)」とされています。

参考:介護保険最新情報Vol.637
 http://www.care-mane.com/pdf/feature/q&a/vol637.pdf

見守り的援助として追加された分を含んで明記されたのは以下の行為です。

 

○ ベッドの上から、ポータブルトイレやイス等へ利用者が移乗する際に、転倒等の防止のため付き添いながら、必要に応じて介助を行う。

○ 認知症等の高齢者が、リハビリパンツやパットの交換をする際に1人で出来るだけ交換したり、後始末が出来たりするよう見守り・声かけを行う。

○ 認知症等の高齢者に対して、訪問介護職が声かけと誘導を行い、食事や水分摂取を促すように支援する。

○入浴、更衣等を行う際に安全に注意して見守りを行う。(必要に応じて行う介助や転倒予防のための声かけ、気分・状態の確認を含む)

○ 移動時にサービス利用者が転倒しないように側について歩き、事故がないように見守る(介護は必要時のみ行う)

○ ベッドの出入り時などに、自立を促すための声かけを行う(介助は必要なときだけ)

○ サービス利用者本人が自ら適切な服薬ができるよう、服薬時の直接介助は行わずに、側で見守り、服薬を促す。

○ 利用者と一緒に手助けや声かけ、見守りをしながら掃除、整理整頓を行う(安全確認の声かけ、疲労状態の確認を含む)。

○認知症などのために ゴミの分別が分からないサービス利用者と一緒に分別をしたり、ゴミ出しのルールを覚えたりする。または思い出してもらうよう援助する。

○ 認知症の高齢者と一緒に、冷蔵庫のなかの整理整頓等を行うことにより、生活歴の喚起を促す。

○ 洗濯物を一緒に干したりたたんだりすることにより自立支援を促す。その際に転倒予防等のための見守り・声かけを行う。

○ 利用者と一緒に手助けや声かけ、見守りをしながらベッドでのシーツ交換、布団カバーの交換等を行う。

○ 利用者と一緒に手助けや声かけ、見守りをしながら衣類の整理・被服の補修を行う。

○ 利用者と一緒に手助けや声かけ、見守りをしながら調理、配膳、後片付けを行う。

○ 車イス等での移動介助を行って、店などに行き、本人が自ら品物を選べるよう誘導や援助をする。

○ 上記のほか、安全を確保しつつ、常時介助できる状態で行うもの等であって、利用者と訪問介護員等がともに日常生活に関する動作を行うことが、ADL・IADL・QOL向上の観点から、利用者の自立支援・重度化防止に資するものとしてケアプランに位置付けられた行為。

参考:介護保険最新情報Vol.637
 http://www.care-mane.com/pdf/feature/q&a/vol637.pdf

 

単なる見守りとならないために

見守り的援助は、下手するとただ単にサービス利用者の動向を「見ているだけ」になってしまいます。

そうならないためには、「自立生活支援・重度化防止のため」に行うということと、家事代行サービスではなく身体介護サービスのひとつであることを、しっかりと意識しておくことが重要です。

介護に入り見守り的援助を行う際に具体的に気をつけることは以下のことがあります。

・利用者の「できること」と「できないこと」をしっかりと把握、情報収集する
「経験がない」ということを理由に、ある行為をしていないことは「できないこと」ではないので区別が必要です。
・利用者が自分でできる方法を見つける、利用者の体験・体感を増やす
・利用者が工夫してできる環境を見つける
・リスクマネジメントの観点から環境を整える

以上のことを意識して、利用者の声を事業所にフィードバックしたり、サービス提供責任者などとサービス内容のモニタリング・再プランニングを随時行っていくことを心がけましょう。

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