子ども達が楽しみにしているプール遊びや水遊び。
夏の暑い日に、プール遊びをしている姿を見るとこちらも思わず笑顔になりますよね
プール遊びや水遊びは、季節が限定されているので、活動出来る期間は短くなりますが、子ども達にとって楽しい思い出になるように保育士は保育内容を考えていくことが大切です。
今回は保育士がプール遊びや水遊びの時におすすめの遊びを紹介します。
プール遊びや水遊びから得られる狙いや効果とは
夏になると暑い日が続き、水遊びが楽しい時期になりますよね。
プール遊びや水遊びは、夏に楽しめる保育の1つですが、これらの保育にはどのようなねらいや効果があるのでしょうか?
①水に対しての抵抗を無くし楽しいと感じる
子ども達の多くは水遊びが大好きですが、中には水に対して恐怖心を持っていたり、抵抗がある子どももいます。
保育園や幼稚園でのプール遊びや水遊びの目的としては、水に対して抵抗を無くし楽しい活動だと感じてもらうことにあります。
水に対して恐怖心があること自体は問題ありませんが、過度に怖がっている場合には、プール遊びや水遊びの活動の中で徐々に慣れ親しめるように支援していくようにしましょう。
②熱くなった体をクールダウンさせる
夏の暑さは大人の体であっても、負担が大きくなります。
特に近年酷暑や猛暑と言われているので、プールに入り体をクールダウンすることで熱中症の予防にも繋がります。
また、同時に冷たくて気持ちがいい、長く入ると体が冷えてしまう等、様々な感覚を養うことにもなります。
子ども達はプール遊びや水遊びを通して、火照った体をクールダウンさせる気持ちよさを感じていき豊かな感性を育んでいきます。
③自分からやってみようという自立心を養う
プール遊びや水遊びの保育に限らず、保育園や幼稚園では『自分でやってみよう』とする力を育むことを目的としています。
乳児クラスであれば、自分から水そのものに興味を持ち触れてみようと感じるだけでも自立心を養うことに繋がりますし、幼児クラスであれば自分で水着に着替えようとしたり、自分から苦手を克服するためにチャレンジする心を養っていきます。
プール遊びや水遊びでは、通常の保育とは少し異なり着替えの用意や、活動になりますので、自立心を育むチャンスになります。
④身近な事象に対して感動したり変化に気が付く
水は子ども達にとって雨や水たまり、水道の水など、非常に近くにあり生活に密着していながらも、変化にとんだ物質で子どもが親しみやすく興味をそそられる存在です。
プール遊びや水遊びでは、その水の中に体を入れて遊び関わることが出来ますので、物の性質や仕組みを直接肌で感じとることができます。
また、水遊びの発展は思考力を育むことに繋がります。
『水をすくう』という1つの事柄に対しても、手ですくうにはどのようにすれば良いか、より多くの水をすくうにはどのアイテムを使えば良いかなど、子ども達は考え、実行し、感動し、出来なかったことを熟考します。
思考力の芽生えから、考える力へと発展していくことが出来ます。
このように、プール遊びや水遊びは短期間でありながらも、実に子ども達にたくさんの刺激を与え、体だけでなく脳や心まで成長を遂げることが出来ます。
季節を感じるだけでなく、様々な効果があるので、プール遊びや水遊びを積極的に取り入れていきましょう。
プール遊びや水遊びでの保育の注意点
子ども達が大好きなプール遊びや水遊びですが、一歩間違えれば命の危険が生じてしまいます。
実際に毎年のように、プールや川、海での事故が発生しており、実際に幼稚園や保育園、学校での悲しい水難事故も起きています。
特に保育園や幼稚園の子ども達は何かあったとしても、自分で助けを求めることや助かるために策を凝らすことは難しいので、保育士が細心の注意を払いながら保育活動を行うことが大切です。
では、プール遊びや水遊びを始める時に保育士が注意すべき点とは何があるのでしょうか?
①水質検査やおもちゃの点検を行う
保育園や幼稚園では、組み立て式の簡易プールを使う所が多くなります。
スイミングプールのようにろ過システムが整っているプールとは違い、組み立て式のプールは水の循環が行われないので、水質がすぐに悪化してしまいます。
そのため、保育士は毎日プール遊びがある日は水の消毒を行い水質管理をしたり、プールや用具の点検を行いましょう。
塩素による消毒が一般的になりますが、塩素は体によくないのではないかと不安に感じる保護者もいます。
規定量をきちんと守れば、塩素による消毒は問題ありません。
しかし、肌が弱い子どもだと塩素消毒に対して親子共に不安が残る場合があります。
そういった場合には、保育士の意見を押し通すのではなく、保護者の気持ちに寄り添い説明を行ったり、解決策を考えていくようにしましょう。
また、プール開きの前にはプール自体の破損やひび割れがないかや、使用するおもちゃやビート板が壊れていないかを確認しましょう。
プール遊びでは、素足で遊ぶことになりますので、ひび割れがあったり、おもちゃが破損しているとケガに繋がってしまいます。
プール遊びが始まるまでに、おもちゃやプールに不備がないか確認しておき、必要な場合は修繕や買いなおしをすることが大切です。
②約束事やルールを必ず伝える
プール遊びや水遊びは溺れたりケガなど大きな事故に繋がることがあります。
そのため、保育士のみが注意を払うのではなく、子ども達でも身を守れなければなりません。
プール遊びを行うためには、事前に何度も保育士は約束やルールを伝えていきましょう。
プール遊びや水遊びでの約束事・ルールは以下になります。
・プールサイドは走らず歩く
・プールや水場では絶対にふざけない
・保育士が出る、辞めるなどの指示を必ず守る
・トイレは水遊びなどの前に済ませておく
・友達を引っ張ったり、押したりしない
・準備体操を行うこと
・水に飛び込んだり、急に全身を水につけない
子ども達はプール遊びや水遊びの前は、どうしても興奮してしまい、ルールを忘れてはしゃいでしまったり、ふざけてしまうことが考えられます。
まず、プール遊びや水遊びが始まる前に、約束事やルールを一緒に確認して、危険な行動をしないように呼び掛けると共に、もしも守れなかった場合には命の危険が生じてしまうため、プール遊びや水遊びが出来なくなることも伝えましょう。
③いつもより多くの保育士を配置し監視体制を整える
何度も述べているように、プール遊びや水遊びは危険が伴います。
水深が3cm程度でも溺れてしまうと言われているように、少しの気のゆるみや不注意が子どもの命を奪ってしまう恐れがあります。
そのため、プール遊びや水遊びの時には、いつもよりも多くの保育士を配置し監視をしっかりと行うことが重要です。
指導を行う保育士以外に、サポートを行う保育士、そして監視役の保育士を配置しましょう。
監視役の保育士は、指導やサポートは一切行わずに子ども達の様子に変化がないか、人数が揃っているなどといった子ども達の身に危険が迫っていないかを確認します。
子ども達の様子を見守る人数が増えることで、指導やサポートを行う保育士も指導に集中することが出来ると共に、何かあった場合にも迅速に対応することが出来ます。
④熱中症に注意する
プール遊びや水遊びの時に屋内で行えるのであれば、熱中症のリスクは低くなります。
しかし、多くの保育園では屋外で行われていたり、保育園からプールまでの道のりが炎天下であったりと、熱中症の危険があります。
熱中症も水難事故と同様に命の危険がありますので、細心の注意を払う必要があります。
炎天下で行われるプール遊びの場合には、水から上がったら日陰に移動できるようにテントを用意しておいたり、水分補給を小まめに行えるような環境にしておくことが大切です。
保育士は、熱中症のリスクがある場所を確認し、対策を行うようにしましょう。
0歳から6歳まで楽しむことが出来る遊び例
保育園や幼稚園でのプール遊びや水遊びの大きな目的は、『水に対して恐怖心や抵抗を少なくする』『水に慣れ親しむ』が挙げられます。
子どもの中にはどうしても水に対して怖いと感じる子がいます。
そういった子どもも最終的には、顔を水につけられるようになったり、水遊びが楽しいと感じられるように保育活動を工夫していくようにしましょう。
ここでは、0歳から6歳まで楽しめる遊びについて紹介します。
是非、保育の参考にしてくださいね。
【ペットボトルジョウロ遊び】
対象年齢
全年齢
材料
ペットボトルジョウロ
ペットボトルジョウロとは、市販のジュースなどが入っていたペットボトルに、きりで穴をたくさん開けて作ったジョウロのことです。
水をいれるだけで、開けられた穴からたくさんの水が出てきますので、子どもたちは大喜びです。
年中や年長であれば、自分たちでジョウロを作るのもおすすめです。
他にもプリンカップや乳酸菌飲料の容器などでも代用することが出来ます。
水の変化に適応する性質を理解し、活用することが出来る遊びになります。
【色水遊び】
対象年齢
全年齢
材料
・ペットボトル
・絵具
色水遊びは全年齢が楽しむことが出来る水遊びです。
乳児クラスであれば、ペットボトルキャップに予め絵具を塗っておき、子ども達に振ってもらうことで、様々な色が出来上がります。
幼児クラスであれば、自分たちで好きな絵具を使って色水を作ったり、おままごとに見立てて色水を活用することもできます。
色水遊びは、プール遊びよりも水遊びの方が適していますが、最後のプールの日などであれば、プールに様々な色水を入れてどんな色が出来上がるか考えて遊べます。
色の変化だけでなく、水の量によって色が異なるように見える事など、視覚を刺激しながら様々な性質について学ぶことが出来る遊びです。
【金魚すくい】
対象年齢
1歳以上
材料
・ポイ(お玉でも可)
・さかな(ペットボトルキャップにビニールテープでしっぽをつけたもの
スポンジを魚の形に切ったものなど)
自分の足で歩けるようになったら、金魚すくいも楽しく遊ぶことが出来ます。
プールに浮かべた魚をぽいですくっていき、自分のおわんへ入れていきます。
年齢が低い場合には、お玉だとすくいやすくなりますし、年齢が上がるとポイで金魚すくいの難易度が上がりますので、工夫していきましょう。
浮かべる魚は予め子ども達と一緒に制作しておくと、より『自分たちが作った魚をすくうことが出来た』という達成感に繋がります。
プール遊びや水遊びの最終日には取った魚を持ち帰っても楽しいですね。
【水のかけあい】
対象年齢
3歳以上
材料
なし
水に慣れるためにおすすめの遊びです。
顔に水がかかることが苦手な子どももいますので、まずは体からかけあいをするようにしましょう。
体でかけあいが出来たら、顔に少しずつかけあいをします。
その後、顔にたくさんかけたり、ジョウロで頭からかけたりしましょう。
まだ水がかかるのを怖がっている子がいれば、無理にかけたりはしないようにします。
無理にかけてしまうと、余計に恐怖心が大きくなってしまいます。
特に怖がる子の場合には、苦手な子同士で体の下からかけあいをして、少しずつ克服できたと感じて自信に繋げていくことが大切です。
【宝探し】
対象年齢
4歳以上
材料
宝(おもりが入っていて水に沈むもの)
宝さがしは水に慣れてきた4歳以上におすすめのプール遊びです。
プール全体に宝を投げ入れ、子ども達がもぐったりして宝を探し当てます。
水が得意であればもぐって掴むので良いですが、苦手な子の場合には牛乳パックなどで作った水中メガネで探すのも良いですね。
予め探す宝の数を決めておくと、苦手な子が見つけられなかったということがなく済みます。
宝となるものはプールの底に沈むものになりますので、専用のアイテムを購入するのがおすすめです。
【流れるプール】
対象年齢
3歳以上
材料
なし
流れるプールは、子ども達が同じ方向に向いて歩いていくことで、水の流れが出来ます。
流れが出来たら、その流れに乗って浮かんだり、動いてみたり、おもちゃを乗せてみたりと水の変化を楽しみましょう。
3歳以上から流れるプールをすることは可能ですが、子ども達が転倒したり溺れたりしていないかをしっかりと確認することが大切です。
【ワニさん歩き】
対象年齢
4歳以上
材料
なし
ワニ歩きは、プールの床に手をついてワニのように歩いて回ります。
水面に顔を近づけて歩いたり、足を浮かせて歩くためにバタ足の練習になります。
ワニ歩きも、水面に近い場所で行いますので苦手な子には保育士がサポートしたり、危険がないか確認するようにしましょう。
まとめ
プール遊びや水遊びは、子ども達の大好きな活動の1つです。
そのため興奮してしまい、ついついふざけてしまったり、保育士の注意が聞こえずに好き勝手してしまうことがあります。
そういった時には、保育士は毅然とした態度で注意し、何がいけなかったのか、約束やルールは何だったのかを再確認していきましょう。
プール遊びや水遊びは子どもにとっても夏の暑さのクールダウンになりますし、楽しい思い出になりますので積極的に取り入れていきたい活動です。
しかし、プール遊びや水遊びは楽しい反面、危険が伴うことを伝えていくことが大切です。
悲しい事故がないように、保育士は危機管理や監視を徹底して楽しく活動に取り組めるようにしましょう。