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障害福祉サービスの申請の時に出てくる『特定相談支援事業所』って何?

障害がある方に対して介護の支援を行ったり、訓練の機会や就労の支援を行うことが出来る障害福祉サービス。

障害福祉サービスを利用するためには、市区町村へ申請を行い支援給付をしてもらうことになりますが、その申請の手順の際に『特定相談支援事業所』や『特定相談支援事業者』という言葉が登場します。

 

では、『特定相談支援事業所』や『特定相談支援事業者』とはどのような事業者を指すのでしょうか?

今回は障害福祉サービスの利用欠かせない『特定相談支援事業所』にスポットライトを当てたいと思います。

 

障害福祉サービスなどの申請時に必須の『特定相談支援事業者』

障害がある方が、生活を送るために必要な介護支援や、就労を行うにあたって必要となる知識や技術を取得するために訓練の機会を提供する障害福祉サービスですが、利用するには市区町村へ給付申請を行わなければなりません。

申請の方法としては、市区町村への相談を行った後にどのような支援が必要かを本人と一緒に自宅等へ訪問しサービス内容を検討します。

 

その後に、訪問した時の様子や障害の程度などを踏まえて、サービス等利用計画案を作成しなければなりません。

サービス等利用計画案とは、障害がある方が障害福祉サービスを利用するにあたって希望する援助や、解決すべき課題について支援を行うために援助方針や支援計画のことを指します。

このサービス等利用計画の作成を行うのが『特定相談支援事業者』です。

 

『特定相談支援事業者』は、市が指定を行っている相談支援事業所のことで、障害福祉サービスを利用するためのサービス等利用計画を作成したり、作成したサービス等利用計画が最適かどうかをモニタリングし、必要な場合であれば見直しや修正を行いより良い生活を送れるようにします。

地域生活を送ったり、家族と一緒に暮らすために支援が必要となっても、障害福祉サービスにはたくさんの種類がありますので、どのようなサービスを受けたら良いのか悩んでしまったり、本当に必要な支援がわからなくなってしまいます。

 

そういった時に、『特定相談支援事業者』は利用者の希望する生活や支援内容を一緒になって考え、話し合い、障害福祉サービスを決定していきサービス等利用計画を作成します。

もちろん、その人にとって必要な支援や解決すべき課題、訓練内容などを考えますが、利用者の想いや願いもしっかりと受け止めて支援計画を立てていきます。

そして、サービス等利用計画を作成し障害福祉サービスを利用開始したら、『特定相談支援事業者』は利用者に支援を受けた感想や問題点、希望などを聞き取り、サービス等利用計画の見直しを行います。

 

『特定相談支援事業者』は市によって指定されていることもあり、サービス等利用計画を作成するためには利用者と『特定相談支援事業者』が契約を結ぶ必要がありますが、実際にサービス等利用計画を作成するための費用はかかりません。

『特定相談支援事業者』は障害がある方の気持ちや想いに寄り添い、その人が快適に地域生活や社会生活を送ることが出来るようにサポートを行っていく事業所になります。

 

『特定相談支援事業所』と『一般相談支援事業所』は違う!

障害がある方だけでなく、家族や日常生活での悩みや課題について相談を行いサポートをしてくれる相談事業支援事業ですが、実際に必要となる障害福祉サービスは何かは曖昧になりがちです。

そのような時に活躍してくれるのが、『特定相談支援事業所』や『一般相談支援事業所』といった相談支援事業所です。

 

これらの相談支援事業所は、障害福祉サービスではどのようなサービスが最適かを多角的に見つめ提案を行ってくれます。

しかし、相談支援事業所には『特定相談支援事業所』と『一般相談支援事業所』がありますが、実は『特定相談支援事業所』と『一般相談支援事業所』では相談出来る内容が異なります。

では『特定相談支援事業所』と『一般相談支援事業所』では何が異なるのでしょうか?

 

先ほど紹介したように『特定相談支援事業所』は障害福祉サービスを利用するために申請を行う際に必要となるサービス等利用計画を作成し、随時モニタリングを行いより良い生活を送れるように支援していきます。

それに対して『一般相談支援事業所』では地域生活への移行に関する相談事業を行います。

 

障害がある方で長期的に入院生活を送っていたり、入所施設で生活をしていた方が地域生活を送るとなると、大きな環境の変化がストレスになるだけでなく、地域社会に馴染むことが出来るのか、日常生活を送ることが出来るのだろうかと不安に感じてしまうことがあります。

生活環境が変わるということは、精神的にも大きな負担が生じてしまいますので、その不安やストレスを取り除くために『一般相談支援事業所』があります。

『一般相談支援事業所』では、病院や施設で暮らしていた方が、再び入院や施設に入所せずに自分の生活を地域の中で送っていくために、地域生活へ移行するための支援や、移行にあたって必要になる障害福祉サービスの体験利用や宿泊体験などを行っていくだけでなく、地域での生活を営んでいく上で生じる悩みや不安などを解消していくといった、移行から定着に関わる総合的な支援を行っていきます。

 

このように、『特定相談支援事業所』と『一般相談支援事業所』はどちらも相談支援事業所になりますが、相談出来る内容や支援出来る内容には違いがあります。

『特定相談支援事業所』も『一般相談支援事業所』も地域社会や地域生活等、地域の中で生活を送るために必要な支援を行ってくれますので、不安なことがあればまずは相談支援事業所へ行ってみることがおすすめです。

 

障害のある方の相談支援先とは?

①障害福祉サービスを利用するためのサービス等利用計画を作成したい場合

相談窓口

市町村の障害福祉窓口へいき指定特定相談支援事業者、指定障害児相談支援

事業者を紹介してもらいます。

 

内容

障害福祉サービスを利用するにあたって、どのような支援や援助が必要かを利用者や家族と話し合いマネジメントを行います。

障害がある方が、自立した地域生活を送るためにはどのように支えていくべきか、障害者の抱える課題などの解決のためのサービスの利用へ向けて、サービス等利用計画を作成し細かいニーズに応えつつ支援を行います。

 

対象者

・障害福祉サービスを利用申請した方や障害児であり、市町村からサービス等利用計画の提出を求められた方

・地域相談支援を申請した障害者で市町村がサービス等利用計画の提出を求められた方

・障害児通所支援を申請した障害児であり、市町村障害児支援利用計画案の提出を求められた方

 

*介護保険制度のサービスを利用する場合には、障害福祉サービスの行動援護、同行援護、自立訓練(生活訓練)、就労移行支援、就労継続支援などの場合で市長村が必要と認める場合になります。

 

②地域内での生活を支援して欲しい場合

相談窓口

指定一般相談支援事業者

 

内容

地域移行支援や地域定着支援といった、地域生活を送るために必要な支援を行うための相談を行っている事業所です。

指定一般相談支援事業者では、長期間入院をしていたり、施設で生活を行っていた方が地域生活へ移行し定着するまでの期間の支援を行います。

地域生活を送るための住居を探したり、緊急時の連絡体制の確保を行ったりして地域生活の支援を行うために相談事業を行っています。

 

対象者

地域移行支援

・障害がある方で地域生活への移行を希望している、かつ支援が必要な方。

具体的な対象者は以下になります。

 

①知的障害などの障害をかかえており、障害者施設、のぞみの園、児童福祉施設、療養介護を行う病院に入居している。(児童福祉施設に入居している18歳以上の方、と、障害者支援施設に入所している15歳以上の障害者みなしの方も対象となります。)

②精神科のある病院に入院している精神障害の方(*1)

③救護施設または更生施設に入所している障害者

④刑務所や少年刑務所、拘置所といった刑事施設や少年院に収容されている障害者

⑤更生保護施設に入所している障害のある方、または自立更生促進センター、就業支援センター、自立準備ホームに宿泊している障害者

 

(*1)…直近の入院期間が1年以上の方が原則的に対象となります。

ただし、直近の入院期間が1年未満であっても措置入院者や医療保護入院者で住居の確保等の支援が必要な方や、地域移行支援を利用しなければ入院が長引いてしまう可能性がある場合には対象となります。

 

 

地域定着支援

・障害を抱えており、地域生活を送る上で緊急時の支援が必要と認められる方。

具体的な対象者は以下になります。

①居宅において、一人暮らしを行っているために緊急時の支援が見込めない状況にある方。

②居宅において、家族と同居しているもののその家族が障害があったり、病気であるために緊急時の支援が見込めない状況にある方。

④障害者支援施設等や精神科のある病院から退所、退院した方の他にも、家族との同居を解消し一人暮らしへ移行した方で、地域社会での生活が不安定な方。

 

(注1)…障害者グループホームや宿泊型自立訓練の入居者は対象外になります。

 

③障害についての相談や障害福祉サービスを利用するための相談の場合

 

相談窓口

市区町村、または指定一般相談支援事業者、指定特定相談支援事業者

 

内容

障害がある方が生活を営むための相談や、障害福祉サービスを利用したい場合など総合的な相談、権利擁護や必要な情報の共有や提供を行って欲しい場合には障害者相談支援事業に相談することが出来ます。

また、このような相談支援事業を効果的に実施するために、自立支援協議会の設置を行い、中立で公平な相談支援事業の実施や関連期間の連携を強化していき改善を促進することも行っています。

 

対象者

障害がある方本人や、家族、支援を行っている方

 

④住宅へ入居を行い生活をしたい場合

相談窓口

市町村、指定特定相談支援事業者、指定一般相談支援事業者

 

内容

公営住宅や、民間業者が行う賃貸住宅などに入居を行って生活をしたい場合には住宅入居など支援事業を利用することが出来ます。

賃貸住宅への入居を行う場合には、保証人が必要になりますが、保証人などを頼める人がいないために入居が難しい障害のある方へ入居に必要な調整や家主への相談、助言を行い障害がある方が自分の生活を行っていくサポートをします。

 

対象者

・障害のある方で賃貸契約による入居を希望しているものの、保証人などの理由により入居が困難な方

*入所施設に入居している方や、精神病院に入院している精神障害者、障害者グループホームにすでに入居している方は対象外になります。

 

 

⑤障害者本人が障害福祉サービスの契約が行えない場合

 

相談窓口

市町村の基幹相談支援センター

 

内容

知的障害や精神障害があるために、判断能力が不十分である障害福祉サービスを利用契約の締結を行えるようにするため、成年後見制度利用支援事業の利用促進します。

基幹相談支援センターへ相談に行くことで、成年後見制度の申し立てに要する登記手数料などの経費、後見人等報酬などの全部か一部を助成してもらうことが出来ます。

 

 

対象者

・障害福祉サービスを利用している、または利用しようと検討している知的障害、精神障害のある方で、後見人などの報酬など必要となる経費の一部について補助を受けなければ成年後見制度を受けることが難しい方

 

このように、相談支援といっても様々な相談内容があります。

多くは市町村の障害福祉相談窓口などに問い合わせをすると、相談や助言を行ってくれますし、必要な場合には特定相談支援事業者や一般相談支援事業などを紹介してくれます。

何から始めればよいのかわからない、どこへ相談したら良いのかわからない場合には、まずは各市町村へ問い合わせをしてみましょう。

 

まとめ

相談支援といっても、先ほど紹介したように障害福祉サービスを利用するために必要なサービス等利用計画を作成するためや、地域生活を営むための準備や緊急時の連絡体制の確保、入居する住宅へのサポートなど多岐に渡ります。

障害福祉サービスは、障害がある方が自立した暮らしや、自分が望む暮らしを行うための支援体制が整えられています。

 

そのため、障害福祉サービスを上手に活用していくことが大切になりますが、その障害福祉サービスを活用するためにも、まずは相談支援を利用して自分や家族にとって必要なサービスは何か、どのように進めていくのが良いかなどを把握していくことでスムーズにスタートを切ることが出来ます。

障害福祉サービスを利用したい方や、利用を検討している方、地域生活を目指している方などは、是非相談支援を活用してみてください。

 

参考、引用:厚生労働省『障害のある人に対する相談支援について』

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