DX化/クラウド会計、コミュニケーションツール導入のすすめ

税理士コラム

公認会計士・税理士・相続診断士 梅本 学

千葉県千葉市幕張本郷中学校卒業、千葉市立稲毛高等学校卒業
早稲田大学大学院会計研究科卒。
有限責任監査法人トーマツ(国内監査) 入所し、2012年公認会計士登録。デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社 出向、株式会社民間資金等活用事業推進機構 出向を経て梅本公認会計士事務所 開業、2019年 株式会社ドットラインの取締役に就任。

・公認会計士登録番号:30269
・税理士登録番号 152787
・認定経営革新等支援機関ID:105812000503

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DX(デジタルトランスフォーメーション)化とは

近年、どの業界でもDX化という言葉をよく目にします。

そのため、DX化はビジネスにおいて浸透している認識とも言えます。また、経済産業省の資料では次のようにDXを定義しています。

DXの定義は次のとおりとする。「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データ
とデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデ
ルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競
争上の優位性を確立すること。」(経済産業省『デジタルガバナンス・コード2.0』より引用)
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dgc/dgc2.pdf

従って、企業の成長を支える税理士事務所としてはデータとデジタル技術を活用し顧客や社会のニーズを基に、DX化を実践し変革に努めていくことは当然と言えます。

さらにはその部分を税理士がどう生かしていくかで、税理士事務所の質が問われるとも言えるでしょう。

では、具体的に税理士事務所ではどういった方法が効果的なのか、取り組み方なども紹介していきます。

クラウド会計とは

出典:https://www.freee.co.jp/?referral=aw_brand

「クラウド」という言葉もよく耳にするワードです。クラウドは2006年にAmazonが企業向けにサービス展開をしてから急速に広がり、現在では、各サービスはクラウドが前提となっていること多くなっております。

スマホで撮影した画像をネット上に保管しておいてもらうApple社のicloudやGoogleのGoogleドライブ等のサービスを思い浮かべるとわかりやすいですね。クラウドは、画像保管サービスに限らず様々な種類があります。

事業会社の経理や税理士事務所として利用しておきたいクラウドのサービスとしては、クラウド会計というものがあります。

サービスとしては「freee」「マネーフォワードクラウド会計」「弥生会計オンライン」などがありますが、ここでは「マネーフォワードクラウド会計」を紹介します。https://biz.moneyforward.com/accounting/

<クラウド会計のメリット>
・いつでも、どこでも、ネット環境さえあれば、会計の数値を確認することができる
・自社のメンバーや外部、税理士事務所との共有が簡単にできる
・ネットバンキングやクレジットカード等と連携をすることで、自動的に明細を取り込みが出来る。
・手入力の会計処理を大幅に減らすことができる
・最新の法規制に対応したサービスが展開されることが多い
・他のサービスやアプリとの連携がしやすい
・クラウド上にデータが保管されるためデータの消失リスクが軽減
・パッケージソフトと比べて、料金が安価であることが多い
・インストール等をする必要がない

<クラウド会計のデメリット>
・従来の会計ソフトに慣れていると操作しづらいと感じることがある
・ネット環境が必要
・初期設定が必要

デメリットよりもメリットの方が多く、また、デメリットについては、税理士事務所におまかせすることでほとんど解決できますので、まずは悩まずにご検討、ご相談いただくことをおすすめします。

-クラウド会計「マネーフォワードクラウド会計」

マネーフォワードクラウド会計は、業務効率化をしたい経営者向けの会計システムです。個人事業主、新設法人や社長ひとり法人の小規模〜中小企業向けと金額や規模にあった使い方が期待できます。

マネーフォワードクラウド会計の利点としては、
・データ連携で手入力の手間やミスを削減
・スマホアプリやWebで申請・承認が完結
・経営状況をリアムタイムに見える化
・マネフォード給与やマネーフォワード経費と他のシステムと連携することで、経理以外の事務効率も改善、向上
・税理士との外部専門家との共有がスムーズ

等が挙げられます。

マネーフォワード会計だけでも、事務効率化をすることができますが、マネーフォワード経費等の他のマネーフォワードシステムと連携することで、紙の申請書作成や領収書の添付、申請書提出・承認にかかってしまう、小口現金での精算への手間などをスムーズにおこなうことで、経理業務全体を効率化し、本来の業務へ力を発揮し、結果として企業の成長に貢献することができるといった考え方とも言えます。

業務を行う上でのコミニュケーションツール

クラウド会計では、ネット環境があれば、いつでも、どこでも経理処理ができるということで、手入力の工数削減や紙資料の削減等の利点を挙げました。

ビジネスにおいての時短、ペーパーレス化は時間の限られている中ではとても重要になってきます。せっかくクラウド会計のツールを利用し時短・ペーパーレス化を実現しているにも関わらず、税理士事務所がわざわざ顧問先へ訪問をしたり、紙資料を確認するのはどうでしょうか。もちろん、会社や事務所に応じて状況が異なり、メリットがありどこまでDX化をするのかというのはありますが、本当に必要なものを見極め、求められるDX化へ導くためのツールを使いこなしてみましょう。

-コミニュケーションツール

文章でやりとりするお問い合わせのツールといえば、「メール」ですが、最近ではLINEといったさらに気軽に連絡を取り合うことが出来る「LINE」アプリなどが人気です。

メールはCC/BCC、定型文、引用の部分
LINEでは相手が読んでくれたかどうかのリアクションを確認をしやすいツールとなっています。

-LINE

LINEでは相手が読んでくれたかどうかのリアクションの確認をしやすいツールとなっています。またスタンプ等でのやりとりも可能で、コミュニケーションがとりやすいです。また、ビジネス用のLINE WORKS(ラインワークス)もあります。

ビジネス用のLINE WORKSでは、個人のlineとも繋がることができます。また、操作方法もlineと似ているため、操作もしやすいです。

また、フリープランでも十分対応が可能です。
https://line-works.com/pricing/

-チャットワーク

チャットワークは、システムが苦手な方でも使いやすいシンプルさが魅力のビジネスに特化したコミニュケーションツール。 

チャットワークにはメールやLINEなどといったツール両方の良い部分があり、さらに期限を設定し相手にタスクを与えておくことでよりビジネスに適したコミニュケーションをとれるといったメリットがあります。

そのおかげで本題に集中することができるので、素早く、的確に業務が行えます。

-税務に関する相談対応、顧問業務をチャットワークで行うとどうなるか?

最近では、直接の訪問や来社ではなく、チャットベースでの税務顧問の活用も増えてきております。主なメリット、デメリットは以下です。

<メリット>
・いつでも、相談したいタイミングで、どこでも、税理士に相談できる
・メールと異なり、埋もれることが少ない
・資料とのやり取りも、スムーズにできる
・グループでのコミュニケーションのため、メンバーとの情報共有がしやすい

<デメリット>
・顔が見えないので、相手がどのように考えているかがわかりづらい
・一定程度の文章作成能力が必要となる

顧問先訪問型のメリット・デメリット

リアルタイムで数値を共有し、チャットワークのようなタイムリーかつ利便性の高いコミュニケーションツール、オンライン会議を導入することで、所内の連絡を効率化するとともに、場所を問わない柔軟な働き方を推進することができメリットが多くなります。

もしタイムリーなチャットやクラウド会計などがなかった場合、基本的に顧問先訪問型となり、メリット・デメリットは以下の通りです。

<メリット>
・定期的に会社を経営する際の業績の把握をしてもらうことが出来る
・定期的に訪問するという約束をすることで経理実務の処理を後まわしすることの抑止となる
・実際に会社の雰囲気や従業員の様子をみることができる

<デメリット>
・通常業務があるなか、時間・場所の確保を行う必要がある。
・訪問時において、相談をすることが多くなるため、スピーディーな対応をすることが出来ない。
・訪問時間、資料の準備、予定の都合をつけるなど様々な時間を要するため顧問料が高くなる傾向にある
・担当者が税理士でない場合、相談をしてもその場で解決できないことがある

ITに弱い、実際に見てもらった方が安心感がある方は訪問型に向いていますが、会社を設立したばかりのような、資金や時間を有効に使いたい人には顧問先訪問型はあまり向いていないとも言えますね。
それぞれに合った方法で、スムーズなコミュニケーションを図り、効果的にツールを使い分けてDX化、業務改善に繋げていきましょう。

まとめ

クラウド会計等のDXツール等やコミニュケーションツールはあくまで効率化に過ぎません。
極端な話、クラウド会計ツールが優秀なため、うまく使いこなせば、税理士事務所がいなくても企業のみで経理処理をすることも可能です。

ここへ付加価値をつけていくことで税理士事務所の本質が問われます。

例えば、
・困ったときにいち早く課題を解決してくれる
・税務以外の士業やコンサルタントを紹介してくれて、企業の成長支援をすることができる
・単なる税に関する業務だけでなく、業務効率化データを元にした経営戦略・生産性向上などに関するコンサルティング、サポートなどの具体的な提案ができるか、等々

クラウド会計等のDXツール、税理士事務所をうまく活用することで、事務の効率化、会社の成長をすることができますので、自分に合ったDXツール、税理士事務所を選定しましょう。

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