発達に課題を抱える子どもの自立支援をおこなう「ドットジュニア(児童発達支援・放課後等デイサービス)」で働く石川さん。入社五ヶ月で管理職に抜擢され、現在は児童発達支援管理責任者の仕事を兼任しながら二つの事業所で管理職を務めています。
石川さんは「地域の『困った』を『ありがとう』に変える」というビジョンに惹かれて入社し、現在は障がいのある子どもを育てる保護者の「困った」を「ありがとう」に変える環境づくりに尽力しています。
入社してから現在まで変わらぬ想いを持ち続けている石川さんですが、「管理職になって、現場を支えるためにこそルールや環境の整備が大切だと気付いた」といいます。現場のためのルールや環境とは、一体どのようなものなのでしょう? 石川さんの挑戦についてお話を伺いました。
転職、結婚、そして転職。理想の支援と自分に合った働き方を求めて
- 石川さんのこれまでのキャリアについて聞かせてください
これまで、障がい者支援や家庭に問題を抱えた子どもの支援など、広く福祉の仕事に携わってきました。両親共に高齢者支援の仕事をしていたので、福祉の道を志すことは私にとって自然な流れでした。数ある福祉の仕事の中でも具体的に進路を決めたきっかけは、児童養護施設に行った大学の実習です。
私が伺った先は、虐待や育児放棄を受けた子どもたちが集団で生活する施設でした。そこには発達障がい児の子育てなど、保護者が困難を感じて投げ出してしまう社会背景があり、フォローやサポートが追いつかない実情がありました。
そこで私は、「障がい児通所支援なら保護者を支えながら、虐待を未然に防げるかもしれない」と思い、地元の児童発達支援をおこなっている法人に就職しました。しかし配属は希望通りにはならず、障がい者の生活支援を二年ほど続けることになりました。
その後、児童相談所で働こうとさいたま市の職員に転職しましたが、そこでも配属は思うように行きませんでした。配属先は市の児童心理治療施設で、主に家庭に問題を抱えた高校生の支援をしていました。
ただ、こちらは希望の配属先ではなかったものの、日本で唯一高校生を対象に支援をおこなう市営施設でした。予期せぬ妊娠や貧困の連鎖から子どもを守る、最後の砦になれるかもしれないと思うと、やりがいを持って取り組むことができました。
- やりがいを持って働いていた中で転職されたのはなぜですか?
結婚がきっかけですね。前職はやりがいが大きい反面、心身ともに大変な場面が何度もありました。夜勤で年を越したこともありました。結婚後は仕事と家庭を両立したかったのと、千葉県に住む予定にもなっていたので、通勤時間を考えても転職以外の選択肢はありませんでした。
また、自分を取り巻く環境の変化と同時に、「もともと私がやりたかった仕事はなんだっけ」と原点に立ち返るタイミングもありました。「虐待を未然に防ぐための保護者支援がしたい」と改めて思い、転職を機に障がい児通所支援の仕事を探すことにしました。
- 転職先を探す中で、Dotlineを選んだ決め手は何でしたか?
「地域の『困った』を『ありがとう』に変える」というビジョンが決め手です。
以前の職場では、周りから見れば助けが必要でも「困っている」と伝えることができない高校生を数多く見てきました。だからこそ「困った」を顕在化し、それを「ありがとう」に変える難しさを痛感しています。この会社に入れば、「困った」と声を上げられない人も助けることができるかもしれないと思いました。
実際にコンタクトを取って本社に伺い、社員さんとお話しした時も好印象でした。「言われた仕事をこなすだけではなく、自分たちで『困った』を解決する仕組みを作れるのがDotlineだ」と語っていて、こんな会社なら働いてみたいと思いました。もともとは利益を目的とした人助けが嫌で一般企業を敬遠していたのですが、その日のうちに面接を受け、入社を決めました。
細かすぎるルールは働きやすさのため? Dotlineで感じたルールの大切さ
- 実際に入社していかがでしたか?
勤続年数や役職に関わらず意見しやすい職場だったので、すぐに働きやすさを感じました。実際に上司に改善点を伝えたところ、すぐに対応してもらうことができました。私は前職でも「なぜこの仕事は時間がかかるのか」「もっと効率の良いやり方はないのか」とよく考えていたので、改善が早い環境はピッタリでした。
ただ、入社当初はルールの多さに戸惑うこともありました。挨拶や連絡など、当たり前に感じることもルール化されていたので、みんなが右向け右となってしまいそうな気がしてなんとも言えない気持ちでした。
ルールの大切さを実感したのは、管理職としてスタッフをまとめる立場になってからです。これまでの職場では、支援の方向性を巡ってスタッフ同士の対立が起こり、職場の人間関係が悪化してしまうことがありました。
ですが、Dotlineではそういった問題が起こりませんでした。それは、「支援の方向性が異なるときは公の場で意見交換すること」や「人前で相手を罵倒・非難しないこと」がルールで決められていたからでした。
今までルールは何かを狭めるものというイメージでしたが、人をまとめる立場になったからこそ、ルールがトラブルを未然に防ぎ、働きやすい環境を作るために重要な役割を果たしていたのだと気づきました。
次はルールを作る立場に。職場のルール作りが理想の保護者支援のカタチを作る
- 石川さんが管理職になった経緯を教えてください。
入社して三ヶ月目に上司から「管理職にならないか」とお話をいただきました。これまで仕事第一の人生でしたが、結婚してからは家庭とのバランスも大事にしたいと思っていたので初めは断っていました。
ですが、何度か話をいただくうちに管理職になれば保護者の窓口としての仕事が増え、自分がやりたかった支援がもっとできるのではと考えるようになりました。いつでも上司に相談できる環境もあったので、やってみようと思いました。
実際、管理職になってからは保護者との接点が増え、定期的な面談以外でもご相談いただく機会が増えました。「大事になる前に相談に応じられてよかった」とやりがいを感じています。
課長級、所長級の役職を経験してから、現在はドットジュニア(児童発達支援・放課後等デイサービス)の児童発達支援管理責任者と、他に二つの事業所でも管理職を兼任しています。
- 管理職としてさまざまな仕事をこなす石川さんですが、その手応えはいかがですか?
現在の私の主な仕事は、現場のスタッフが働きやすい環境を整えることです。Dotlineに入って、働きやすい環境作りにはルールが欠かせないことを実感したので、職場のルール作りには特に力を入れていますし、手応えを感じています。
例えば、スタッフが業務にやりずらさを感じているのにも関わらず、その声が上がってこない、という問題が以前ありました。日報に「提案事項」という枠を作り、些細なトラブルでも報告しやすいようにしたところ、業務効率化に繋がりました。今まで把握できていなかった問題にも対処できるようになり、働きやすくなりました。
職場の環境が整うと、スタッフは目の前の子どもの支援により集中することができます。ルールの見直しや整備に力を入れる仕事が、現場のスタッフや子どもの過ごしやすさに繋がっていると思うと嬉しいですね。
- 最後に今後の展望を聞かせてください
私がやりたいことは一貫して「障がいを持つ子どもの保護者を支える環境づくり」です。そのために、管理職として現場が感じる不足感を汲み取り、それを改善するための仕組み作りにさらに力を入れていきたいです。
また、子どもの自立のためにより良い支援を提供できるよう、異なる事業所の専門職同士が話し合えるような仕組みも作りたいと思っています。
将来的には「困った」と言えない人にも支援の手を差し伸べられるように、まずは目の前の仕組みづくりに一つ一つ取り組んでいきたいです。
ここまで仕事の話ばかりしてきましたが、ゆくゆくは母として自分の子どもの成長を見守りたいとも思っています。子育てと仕事を両立するかっこいいお母さんになれるよう、引き続きがんばります!