医師と俳優の両立!? Dotlineで叶える夢と、多様な働き方への挑戦

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地域密着型の訪問診療をおこなう「スタークリニック(訪問診療)」で医師として働く澤井さん。

大学を卒業してから五年間にわたって訪問診療に携わり、やりがいをもって仕事に取り組まれています。

 それだけでなく、澤井さんは医師として仕事をしながら、俳優としても活動しているという異色の経歴の持ち主。医師と俳優、どちらも大変そうな仕事であるにもかかわらず、両立しながら挑戦を続けています。

 なぜ異なる二つの仕事に携わっているのか、そしてどのように両立しているのか。Dotlineにおける働き方と、訪問診療のやりがいについて、澤井さんに幅広くお話を伺いました。

スタークリニック 船橋(訪問診療) 院長 澤井一真

医師として仕事をしながら、俳優としても活動しているという異色の経歴の持ち主。

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俳優になる夢を叶えるために、訪問診療の世界へ? 仕事と夢がつながるところ。

− はじめに、澤井さんのこれまでの経歴をお聞かせください

 まず中学三年生の時、俳優を目指して一年だけ養成学校に通いました。しかし地味なレッスンやエキストラの仕事しかもらえない日々にしんどさを感じ、その時は挫折しました。

 高校では特に夢もやりたい仕事も思い当たらず、しばらくは遊んでばかりいました。安直ですが、両親が医師として働いていたので、進路を考え始めたタイミングで私も医師を目指そうと思い、医学部を受験することにしました。

 正直なところ、立派な志があったわけではありません。当時の私の成績は学年最下位だったので、「そこから合格したらものすごくかっこいいんじゃないか」と思っての選択でした。ただし、進路を決めてからの勉強は本当に死に物狂いでがんばりました。その甲斐あって、医学部には無事合格しました。

 それから改めて自分の将来について考えた時、俳優をもう一度目指してみようという想いが芽生えてきました。医師の資格を持っていれば、仕事に困る事はありません。安定した収入を確保しながら、俳優を目指すことは可能なんじゃないか、と考えました。

− 俳優を目指しながら医師として働くことは、可能なんでしょうか?

 実際に俳優を目指そうと挑戦を始めたものの、そのような条件で働ける病院はほとんど見つかりませんでした。平日はほぼ毎日養成学校に通うので、医師として働くことができるのは土日だけです。医学部を卒業したばかりなのに、勤務できるのは週末だけ。そんな私を雇ってくれる病院がなかなか見つからなかったのは当然だと思います。

 幸いなことに、一ヶ所だけその条件で雇ってもらえるところが見つかりました。それが私の訪問診療との出会いでした。大学卒業後の四年間は、その病院で訪問診療の仕事をすることになりました。

 転職するきっかけ、その病院からスタークリニック(訪問診療)に転職した友人からの紹介でした。「医者を募集しているので澤井先生も働いてみませんか」と声をかけてもらい、二つの病院で勤務することになりました。おかげで現在は、医師として働きながら俳優になる挑戦も続けられています。

夢に向かって挑戦しながら、患者さんともじっくり向き合える。Dotlineで実現する仕事と夢の両立のカタチ。

 

− 今はどのような勤務形態をしていますか?

 基本は週一回の勤務で、シフトは柔軟に調節していただいています。俳優の仕事は急に依頼が入ることもあるのですが、可能な時は代理の先生を立てていただけるので本当にありがたいです。Dotlineのみんなからは、俳優業の方も応援してもらっていると感じます。

 今は一日あたりの訪問件数を七、八件に絞り、スケジュールにゆとりを持たせています。訪問診療を行う病院の中にはみっちりスケジュールを組むところもあり、一日に十数件も訪問するケースもあります。ですから体力的にも精神的にも無理なく働くことができ、ピリピリせずに患者さんとじっくり向き合う診療ができます。

 また、訪問件数を調整しているからといって給与が少なくなるというわけでもありません。一日あたりの出勤時間によって支給される給与体系になっているので安心して働くことができ、おかげで俳優業との両立が叶っています。

 

− 夢を追いかけながら働いていると、医師の仕事が片手間になってしまうということはないのでしょうか?

 それはありません。最初は働き方や給料などの条件面を重視して選びましたが、働いてみると訪問診療は自分にとても合っていることがわかりました。

 一般の病院は病気を治すことを第一に考えるので、治療の判断は医師の意見が優先されることが多いです。訪問診療だと、患者さんとご家族の意向を一番に尊重して診療を行います。私にはその感覚が合っていました。患者さんとたくさんコミュニケーションを取り、その方がどういう診療を求めているのか理解しながら診療できるのが良いですね。

 実際、患者さんときちんと向き合うことができたことで、その方の命を救うことにつながったケースもあります。腹痛を訴える患者さんの診察に伺った際、問診や触診からただの腹痛ではない可能性に気付き、万が一を想定した対処ができました。もし関わりが薄かったら、そこまで考えられていなかったかもしれません。

 訪問診療の現場には、病院のように医療器具が揃っているわけではありません。自分の知識や経験から判断しなければいけない場面も多くあり、責任は非常に大きいです。しかし、その分やりがいも強く感じられます。

夢を追い求めることが、訪問診療の世界への貢献につながる。相乗効果につながる働き方を目指して。

− 他の業界も知っている澤井さんから見て、医療・福祉の世界はどのように映っていますか?

 医療や福祉はすべての人にとって必要不可欠なインフラですが、課題が山積みになっているように感じています。それは病院も訪問診療も同様ですね。訪問診療だと、ご家庭をはじめ老人ホームなどの施設にも伺うことがあるので、より広い視点で課題を感じます。

 特に福祉の業界では近年「人手不足」が指摘されていますが、その歪みはさまざまな場面で強く感じます。スタッフの手が足りなくて食事が満足に提供されていなかったこともあれば、施設のスタッフが外国人の方ばかりで診察の連携が取りにくかったこともありました。患者さんからは「早く施設を出たい」という声もよく伺います。

 実際に現場で働いてみて、業界の課題は思った以上に深刻だと感じているので、より広くみなさんに知ってもらうことで解決と向き合いたいですね。

− 最後に、俳優業も含め、澤井さんの今後の展望をお聞かせください

 俳優の仕事も医師の仕事も、それぞれが良い影響を与え合えるように工夫していきたいですね。俳優としての影響力を高めることで、地域医療の課題を広く世の中に伝えていけたらと考えています。俳優として世間に知られることと、医師として現場を知っていることは、生の声を伝える上でどちらも役に立つので、引き続きどちらもがんばりたいです。

 今はそれが少しずつ形になってきていると思うので、まずはさらに努力と成長を続けたいです。十年後には主演を張れるくらいの俳優になっていたいですね。私の挑戦が多様な働き方の事例になれば嬉しいですし、そういう挑戦をしている人に勇気を与える存在になれたらとも思います。

 俳優としても医師としても、さらに活躍していけるようにこれからがんばり続けます。

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