近年では障害者雇用を採用する企業が増えていますが、「働きたいけれど勇気が出ない」と悩んでいて一歩踏み出せない障害者の方も多くいます。
そんな方を就職に導く『就労移行支援』というサービスがあるのをご存知でしたか?
この記事では、『就労移行支援』について解説します。
就労移行支援とは?
従来施行されていた障害者自立支援法を改正して2013年に施行された、障害者総合支援法をもとに提供されている就労支援サービスのことです。
一般企業への就職を望んでいる18歳から65歳未満の障害がある方に向けて、就職に必要なスキルや知識を身につけるためのサポートを行います。
就労移行支援は、統合失調症やうつ病などの精神障害、ADHDやアスペルガー症候群などの発達障害、身体障害や知的障害のほかに障害者総合支援法で指定されている難病を患っている方が対象になります。
障害者手帳を持っていない方でも、自治体などの判断で就労移行支援を受けることも可能です。
就労移行支援の流れ
では具体的にどのような支援が行われているのでしょうか。
「就労支援計画」を作成
いつまでにどんな仕事をしたいかなど、就職に向けての希望を支援担当者に伝え、「職業評価」によって本人の適性を図りながら就職活動のスケジュールなどを相談し進めていきます。
スキルアップ講座に参加
就職する際に必要な知識やスキルを学びます。
ビジネスマナーなどの基本から、プログラミングなどの専門的な知識まで幅広く学ぶことができます。
日常生活において自立できるよう、体調管理の方法や対人スキルも学びます。
この講座は、デイケアや生活支援に通っている人でも受講が可能です。
実際の企業で職場体験
スキルを学んだら、実際に企業で仕事を体験します。
職場体験を行うことで、自分にはどんな働き方が合っているのかを見極めることができますので、就職活動時にミスマッチが起きることを防ぎます。
就職活動開始
ハローワークなどと連携しながら、本人の適性と希望に沿った求人を探します。
履歴書や応募書類の添削や模擬面接を行うなど、就職成功に向けた手厚いサポートを受けることができます。
就職後もサポート
就職が成功したからといって、サポートが終わるわけではありません。
一定期間は定期的に面談を行い、仕事内容に関する悩みや生活についての相談などに対応しています。
利用期間と料金について
就労移行支援を受けられる期間は、原則最長24ヶ月間です。
料金は、生活保護受給者と市町村民税非課税世帯の方は無料で利用できます。
市町村民税課税世帯(所得割16万円未満)の方は月額最大9,300円、それ以外の方は月額最大37,200円の利用料がかかります。
また、事業所までや職場体験の際に発生する交通費は原則自己負担となります。
市区町村によっては、補助が出る場合がありますので確認してみると良いでしょう。
就労移行支援を受けたいけれど、どうすればいい?
就労移行支援は、全国各地に存在している「就労移行支援事業所」と呼ばれる施設で行っています。
利用するまでの流れをまとめましたのでご覧ください。
就労移行支援事業所を探す
居住地域の役所にある障害福祉に関する窓口に相談をすると、通える事業所を紹介してもらうことができます。
また、ご自身でインターネット検索をして探すことも可能です。
就労移行支援事業所を見学する
業所の実際の雰囲気や支援内容、他の利用者の様子などは、紹介された時やインターネットの情報では判断できないことが多いです。
そのため、実際に足を運んで自分に合った事業所かどうかを確認することをおすすめします。
複数の事業所を比較して検討する
居住地域に複数の事業所がある場合は、より自分に合った事業所を見つけるために、行ける範囲内で見学を行って比較検討することをおすすめします。
比較する際は、見学時の印象や自身の求める支援内容があるかどうかなどで比較しましょう。
障害福祉サービスの受給者証を申請する
行きたい就労移行支援事業所が見つかったら、利用開始時期を決めてから申請を行います。
お住まいの行政窓口にて、就労移行支援を受けることを伝えたら必要書類を用意して受給者証を申請しましょう。
利用契約を行う
障害福祉サービスの受給者証が発行されたら、利用したい事業所との契約を行いましょう。
就労移行支援開始
契約が成立すると、事業所の担当者が「個別支援計画」を作成します。
この計画に沿って、就職に向けて行動を起こしていきます。
まとめ
この記事では『就労移行支援』について解説しました。
就労移行支援事業所では、必要スキルの習得から就職後の面談まで幅広く対応し、利用する人に寄り添って手厚いサポートを行います。
就職活動を進める中で自分の力だけでは難しいと感じたり、就職したいけれど一歩踏み出す勇気がないという人は、ぜひ利用してみてはいかがでしょうか。