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発達障害かもしれない…どこに相談すれば良い?診断方法とは?

日々の生活の中で、こだわりが強かったり、思い通りに泣かないと激しく抵抗したりパニックを起こしてしまったり…育児をしている中でもしかして発達障害かもしれない、と感じる時があるかもしれません。

発達障害は、生まれた時にはわからず年齢が上がるにつれて特性が表れてきます。では、発達障害かもしれないと感じた場合にはどうすれば良いのでしょうか?

また、発達障害を調べる検査や診断方法についてもお話しします。

 

1.発達障害かもしれないと感じたら

発達障害という言葉を耳にすることが多くなりました。

発達障害は、以前はあまり障害はもちろんのこと、言葉自体知られていなかったですが、近年はメディアや書籍で取り上げられることが多くなり、発達障害について理解も得られるようになってきました。発達障害は早い段階で発見し療育を行っていくことで、生き辛さや苦手な事や困難を克服したり、生き辛さを緩和することが出来ます。

こだわりが強かったり、気持ちの切り替えが苦手だったりと気になる点があると、自分の子どもも発達障害ではないかと思う方もいるでしょう。

では、発達障害かもしれないと感じた場合にはどうすれば良いのでしょうか?

まず、発達障害かもしれないと感じた場合にはまず専門機関に相談しましょう。

相談は各自治体に相談窓口が設けており、無料で相談することが出来ます。

主な相談機関は以下になります。

◇市区町村の保健センター

地域保健法に各市区町村で設置されている保健センターは、発達障害の相談を常時受け付けています。保健センターは子育て支援や、乳幼児健診を担っているので、子どもの発達相談に関しても専門知識を持っている職員が対応してくれます。子どもの発達相談だけでなく、成人や高校生といった年齢が高い人の相談も出来、必要であれば専門機関の紹介や、療育の手続きの方法まで詳しく教えてくれます。

◇子育て支援センター

厚生労働省の通達である『特別保育事業の実施について』に基づいて作られたのが子育て支援センターです。子育て支援センターは地域自治体が運営しており、子育てに関する相談全般からサポートも行っている施設です。発達障害の相談だけでなく、子どもと親の交流を図ったり、児童館などの他の子どもとの交流の場にもなり、育児について不安に思うことがあれば相談に乗ってくれます。

◇児童相談所

虐待相談や保健相談のイメージが強い児童相談所ですが、児童相談所でも発達障害についての相談を受け付けています。児童相談所は児童福祉法に基づいて設置されており、子どもの気になる事や不安に思うこと、子どもとの関わり方など様々な相談をすることが出来ます。児童福祉司、児童心理司といった子どもの成長や発達といった専門的な知識が豊富な職員がいますので、気になることがあれば相談してみましょう。

◇発達障害者支援センター

発達障害者支援法に基づいて設置された施設で、都道府県や指定都市が実施しています。発達障害を持つ子どもとその家族等から、相談を受け付けており、特に発達障害に関しての知識を有している職員が相談に乗ってくれます。子どもとの関わり方や、特性との向き合い方、療育について等詳しく解説・助言をしてくれたり、専門機関や医療機関との連携も仲介してくれます。発達障害に関して詳しく相談したい場合には、発達障害者支援センターに相談しましょう。

このように、発達障害かもしれないと感じた場合には、専門機関に相談するのが一番良いです。現在は子どもの発達相談だけでなく、大人になった時に自分が発達障害かもしれないと気が付く場合もありますので、大人の発達相談に関しても相談することが出来ます。

上記の施設では専門的な視点から特性についてや、関わり方といった発達障害に関する情報も丁寧に伝えてくれますので、発達障害かもしれないと感じた場合には、これらの施設に相談してみましょう。

 

2.発達障害と診断するには『発達検査』が必要

療育をスタートする時や、発達障害かもしれないと感じ、相談にいった場合には、どのような場所でどのような検査を行うのでしょうか?実は、発達障害の診断を行うのは医療機関で、保健センターなどでは発達障害の可能性を疑い専門機関で検査を行えるように施設を紹介したり、相談を受ける施設になりますので、発達障害の診断をすることは出来ません。

医療機関で発達障害の診断を行う場合には、『発達検査』を行います。

発達検査は、子どもの発達の度合いを調べる検査ですが、発達障害の確定診断を行うものではありません。

発達障害の確定診断は行動観察や成育歴などを調べる臨床診断に加えて、知能検査や発達検査といった専門的な診断を行い、総合的なことを参考に診断されます。

発達検査は療育を行う時に、療育指導案を考えたり、その子の特性を知るために行うものになります。

発達障害と診断するためには、児童相談所や保健センターで専門機関を紹介してもらい、そこで発達検査や知能検査、臨床診断を行い判断されます。

 

3.発達検査には様々な種類がある

発達障害と診断を受ける時に行われる発達検査ですが、発達検査には様々な種類があります。それぞれの病院でどの検査方法を用いられるかはわかりませんので、受けたい発達検査がある場合には予め病院へ連絡して聞いておきましょう。

発達検査の主な種類としては

・新版K式発達検査

・乳幼児精神発達診断法

・日本版Bayley-III乳幼児検査

・ブラゼルトン新生児行動評価法

・ASQ-3

・KIDS乳幼児発達スケール

・日本版デンバー式発達スクリーニング検査等

があります。発達検査にはこのように、たくさんの種類がありますので、どんな検査を行うのかを知った上で発達検査を受けるようにしましょう。

中でも現在主流となっているのは新版K式発達検査と乳幼児精神発達診断法です。

 

新版K式発達検査


新版K式発達検査は京都市児童院で開発された発達検査で、子どもの発達の様子を精神面や行動面など多面的に偏りがないかを検査します。検査年齢が0歳から大人になるまで行えるという、とても汎用性の高い検査で現在は最もポピュラーな発達検査です。

新版K式発達検査では発達を数値化した発達指数と実年齢と発達の年齢の差を表す発達年齢がわかります。検査に用いる道具は子どもが遊びに使うものが多く、自然に自発的な行動を起こすことが出来るように工夫されており、観察することが出来ます。

 

乳幼児精神発達診断法


乳幼児精神発達診断法も、新版K式発達検査と同様に、発達検査としてはとてもポピュラーな検査方法で乳幼児健診などでも用いられています。乳幼児精神発達診断法は、面接官が子どもと母親等の保護者、それぞれへ別に質問する形式で行われます。子どもの生活面などを中心に出来る項目、出来ない項目を判断していき発達輪郭表に描かれます。その結果を見た上で、発達について総合的に判断します。

乳幼児精神発達診断法は、特別な道具を用いるわけでも観察場面が限られているわけでもありませんので、子どもの状態や障害に影響されることは少なく、普段の生活状態を知り判断することが出来るのが利点です。その反面、面接官や保護者の意見によって評価に差が出てきてしまいます。

この他の発達検査も施設によっては行われていますので、どの検査方法が良いかを考えて施設に連絡してみるようにしましょう。

 

4.発達障害と診断されなければ療育は受けられない?

発達障害と診断された場合、療育を受けることをすすめられます。では、発達障害と診断されなかった場合には療育を受けることは出来ないのでしょうか?

療育は何らかの障害がある子どもに対して、適切な支援を行っていき発達を促し、社会生活や日常生活の困難を減らし安定した生活を送ることが出来るように、サポートやトレーニングを行っていきます。療育は専門機関や医療機関によって、発達検査や知能検査を行い、発達障害と認められた場合が基本になります。しかし、子どもの特性によって療育の必要があると診断された場合には、療育手帳等がなくても療育を受けることは出来ます。発達の面で凹凸が大きかったり、対人関係が苦手であったりと、不得意な面が大きければ療育が必要とされることがありますが、そういった場合は療育を受ける順番が回りにくいということがあります。

というのも、現在療育施設で定員オーバーになっており、発達障害と診断され療育が必要とされていても施設で定員が限られているため受けられない所が多くあります。発達障害の子どもは増加しているのにも関わらず、療育機関の定員は増えていないことが大きな原因です。

ですので、発達障害ときちんと診断された方を優先し、グレーゾーンの場合には経過観察とされることもあるということを覚えておきましょう。

また療育の自己負担額を減らすためには、受給者証や療育手帳を交付しておくのがおすすめです。では、受給者証や療育手帳はどのような役割があるのでしょうか?

障害の程度が記され補助を受け取ることが出来る療育手帳は、知的障害や身体障害、精神障害が認められた場合に交付されます。発達障害の場合、注意欠陥多動性障害(ADHD)やアスペルガー症候群(自閉症スペクトラム)など知的障害を伴わないことが多い障害の場合、療育手帳が交付されることは少なくなります。

療育手帳に対して、受給者証は、療育を行う際に自己負担する費用を少なくする働きがあります。療育手帳が交付されなくても受給者証が交付されると1割負担で療育を受けることが出来ます。市区町村の福祉窓口に療育についての相談をすると、受給者証の交付の方法を教えてもらえますので確認しておきましょう。

 

5.まとめ

発達障害の多くは、乳幼児健診や幼稚園や保育園などからの指摘があることで気が付きます。しかし、発達障害の認知度が高くなると共に、気になる特性があると母親や父親といった保護者が発達障害ではないかと感じるケースも多くなってきました。発達障害は早期療育を受けることで、とても大きな効果をもたらすことが出来ます。発達障害かどうかを自己判断せず、気になることがあれば市区町村の相談窓口や児童相談所、発達障害支援センター等に相談してみることが大切です。

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