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在宅医療で「自分らしく生きるため」に本人と家族が押さえておきたいポイント

在宅医療とは何らかの医療を必要としながらも通院が困難であるため、自宅で療養をしながら医師や看護師の訪問を受け診療を継続する医療の形態を言います。

在宅医療には医療の面での様々なメリットやデメリットがありますが、患者さん自身や近くで支えるご家族がしっかり考えておくべきこととして、「いかに自分らしく生きるか」という点が挙げられます。

この記事では、在宅医療を選ぶ際に知っておきたいポイントを概説します。

 

 

自分らしく生きるために知っておきたいこと

・受け入れること

一般的な通院や入院での診療は、積極的な検査や治療による長寿延命を主な目的とします。

それに対して、在宅医療では無理な延命よりも、いかに安楽に過ごすかということが重要視されます。

これはバランスをどちらに置くか、ということであって、入院では安楽は考慮しない、とか在宅医療では治療はしない、ということではありません。

しかし、在宅医療を選択しようという場合は、完全な治癒や回復が望めないケースが多いのも事実です。

したがって、在宅医療を選ぶ場合には患者さん自身やご家族は「治すのではなく楽に過ごすこと」が目的であることを受け入れることが必要です。

何をおいても治すこと、長く生きることを目指すのであれば、在宅医療という形では望むお手伝いをすることは難しいでしょう。

・孤独ではないこと

在宅医療では自宅で大半の時間を過ごすことになります。

自身で自由に活動できないからこそ在宅医療を選択することになるため、自宅にいるからといって思うままに過ごすことはできません。

必然的に外界との接触が少なくなるため、孤独を感じやすく、また、着実に死へ向かう自身の状況に不安や恐怖も抱えて過ごすことになります。

そこで重要になるのがご家族や友人の存在です。

患者さんの状況を受け入れ寄り添うことで、患者さんの孤独や不安を緩和することが期待できます。

それにより、患者さんは自分が孤独ではないことを感じ、安心して自宅での療養生活を過ごせるようになるでしょう。

 

・人生を振り返ってみよう

できるようなら、これまでの人生を振り返ってみると良いでしょう。

楽しかったこと、嬉しかったこと、悲しかったこと、辛かったこと、様々な出来事を経験してきていると思います。

一つ一つを思い出すことで、残された時間でやりたいことが見つかるかもしれません。

あそこへ行きたい、あの人に会いたい、あれが食べたい・・・もう一度。

それはきっと、新たな生きがいになるのではないでしょうか。

もちろんできることには制限はあるでしょうが、実現が可能なものもあるかもしれません。

残された人生を自分らしく生きるために、それらの願いは大きな力になるのではないでしょうか。

 

・どのように死を迎えたいのか

辛いことですが、人には必ず死が訪れます。

いよいよ最期の時が迫ってきたときに、どういった形で迎えたいのか、送り出したいのかをあらかじめ考えて置くことは重要です。

死生観は人それぞれです。

死生観とは、死と生に対する見方・考え方です。

どのように生きて、どのように死ぬのか、生きるとは、死ぬとはどういうことなのか、ということをどのように考えるのか。

100人いれば100通りの死生観があるといってもいいでしょう。

家族とはいえ、患者さんとご家族の間でも死生観が異なることもあります。

ですので、最期の時に慌てないように意見を合わせておきましょう。

具体的には、いわゆる心臓マッサージや人工呼吸器、電気ショックなどの救命処置を受けたいのかなどがあります。

これらの処置を受けたい場合には救急車を呼び病院へ搬送されることになります。

出来うる処置は受けたいのか、受けさせたいのか、そうではないのかを事前に決めておくことは非常に大切です。

もし、患者さん自身が処置を受けたいという希望がないにも関わらず救急車を呼んでしまうと、受けたくない処置を受けながら死を迎えることになりかねません。

自宅で看取る方針であったものの、いざその時になると慌てて救急車を呼んでしまった、というケースは医療の現場ではしばしば見られます。

最期の時を望む形で迎えられるよう、よく相談しておきましょう。

 

・ご家族へ

在宅医療を受けるのはもちろん患者さんですが、ご家族の担う役割は通院や入院での診療の比ではありません。

24時間365日、介護体制を作る必要があります。

在宅医療では定期的に医師や看護師が訪問しますが、常にそばにいるわけではありません。

診療の主役はご家族と言っても過言ではありません。

当然、ご家族の負担は大きなものがあります。

大切な家族のために、というのは皆が思うことではありますが、実際には仕事などそれぞれの生活があります。

時間が経つとともに患者さんの状態は低下します。

つまり日に日にご家族の負担は増えることを意味します。

徐々に介護必要度の上がる患者さんのお世話をすることは身体的にも精神的には決して楽ではありません。

在宅医療を選択する場合には、このことを覚悟する必要があります。

そして、いよいよ最期の時を迎えようとしているとき、患者さんには様々な症状が表れます。

辛そうな姿をそばでずっと見続けることはご家族にとっても辛いことです。

その時をしっかり受け入れること、慌てないことが患者さんを見送るために大切なことです。

 

・レスパイト

レスパイトとは休息という意味の言葉です。

一時的に入院や施設入所をしてもらうことで介護者のリフレッシュを図ることができます。

前述のように、在宅医療ではご家族の負担は決して少ないとは言えませんし、冠婚葬祭などで家を空けざるを得ない用事ができることもあります。

適切に休息をとることで、結果的に患者さんのお世話の質を保つことができます。

これは決して介護から逃げる、ということではありませんので、必要に応じてかかりつけ医や看護師に相談するとよいでしょう。

 

自分らしく生きるために

以上のように、在宅医療においては押さえておくべき、知っておくべきポイントがあります。

大切なのは患者さんの意思とご家族の意思をよくすり合わせておくことです。

双方の気持ちが乖離してしまうと互いにとって負担となり、自分らしく生きるという大目標を達成することができなくなってしまいます。

気になること、心配なことなどがあれば医療相談員などに都度相談すると良いでしょう。

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