【市川市】世界三大荒行の地・中山の法華経寺は凄いお寺だった!【神社仏閣】

皆さんは千葉県に「正中山法華経寺」というお寺があることをご存知でしょうか?

地元住民から深く愛されている由緒あるお寺ですが、日本の仏教に密接な関係を持つお寺でもあることは、あまり広く知られていません。

今回の記事では、この法華経寺に市川在住ライターが実際に訪れ、どんな場所なのかをわかりやすくご紹介していきます。

正中山法華経寺の歴史とは

▲筆者提供/11月は酉の市の開催や鬼子母神祭の飾り付けで正門が彩られる

法華経寺は、鎌倉時代に日蓮宗の祖・日蓮大聖人が最初に開いた日蓮宗大本山・五勝具足の霊場です。

五勝具足とは「授法の発初」「精舎の最初」「寺号の発軫(発心)」「本尊仏像造立の最初」「説法権与の最初」の5種の縁起を備えたお寺を指し、法華経寺が日蓮の手によって開かれたお寺であることを表しています。

▲筆者提供/参道入口の門

日蓮は当時、鎌倉時代の一般的な仏教に否定的であったため鎌倉を追放されていましたが、中山の大名によって守護され、千葉県内でその宗派を発展させました。

しかし、鎌倉の大名や他の仏門から敵対心を集めていたため、旅の途中で大名の襲撃に遭い、左腕の骨折、額の裂傷など大きな怪我を負います。

旅半ばで自らの命が危ぶまれた際、眼前に突如現れた鬼子母神(インド仏教の神の一人)によって命を救われる体験をした日蓮は、そのありがたさを説くべく法華経寺で鬼子母神への信仰を開眼させました。

以降、「中山の鬼子母神」は法華経行者の守護神として信仰されるほか、天下泰平・諸願成就・安産や子育ての神として鬼子母神を信仰する人々が全国から集うお寺となったのです。

比叡山の修行・インドのヨーガに並ぶ世界三大荒行の地

▲筆者提供/建立当時の姿を保つ国指定重要文化財「四足門」(背後は改修中の「祖師堂」)

法華経寺は、日蓮宗の荒行の修業場として有名なことはご存じでしょうか。

ここでは毎年11月~2月にかけての100日間、「日蓮宗大荒行堂」という場が開設され、日蓮宗の秘法を求める僧侶が全国から100名近く集い荒行を行います。

荒行とは、午前2時の起床から1日7回の行水、その他の時間はお堂の中で読経・写経を延々と続ける修行です。

▲筆者提供/祖師堂と本堂を繋ぐ廊下と門

真冬でも足袋を履けないことや、麻の薄い装束を身に纏うこと、食事は朝夕に白がゆのみと大変厳しい修行ですが、この修行を終えた僧侶は日蓮宗の御祈祷を行える位の高い僧侶になることができます。

その修行の厳しさから、天台宗比叡山で行われる千日回峰行(せんにちかいほうぎょう)・インド仏教の修行=ヨーガに並ぶ世界三大荒行として知られています。

日蓮上人が初めて説法をした地・奥之院

▲筆者提供/日蓮宗本堂として最古に属する国指定重要文化財「正中山法華経寺法華堂」

法華経寺の本堂から奥へ行った場所には、日蓮大聖人がはじめて説法を説いたとされる場所「奥之院(おくのいん)」があります。

市川に伝わる七福神のうち弁財天を祀っており、法華経寺や祖師堂とは一風変わった派手な外装が目を惹きます。

筆者が参拝した11月中旬は、年に一度の鬼子母神祭の前日ということで大変混雑しており、残念ながら奥之院の写真は撮影できませんでした。

中山を訪れる機会がある方は、ぜひ奥之院への参拝も忘れず行うことをおすすめします。

正中山法華経寺 奥之院の施設情報

所在地:〒272-0812 千葉県市川市若宮1-21-1(Googleマップで見る
電話:047-334-0221
アクセス:正中山法華経寺より徒歩約6分
備考:参拝者用駐車場あり。

国指定重要文化財・法華経寺五重塔は必見!

▲筆者提供

正中山法華経寺には、国宝である日蓮の書き残した書2つと、

  • 日蓮大聖人を祀る「祖師堂」
  • 建立当時の姿を保った「法華経寺四足門」
  • 最古の日蓮宗本堂「華経寺法華堂」
  • 「五重塔」
  • 「日蓮自筆遺文」

の5つの国指定重要文化財があります。

中でも元和8年(1622)に建立された五重塔は、中山法華経寺のランドマークとしてとても人気で、秋は紅葉と共に朱塗りが映える、美しい様子をみることができます。

千葉県内にある五重塔で唯一指定文化財に登録されている塔です。観光で訪れた際には五重塔の付近にある解説板を読んでみると、より一層法華経寺観光を楽しめるのではないでしょうか。

法華経寺に来たらこちらもおすすめ!日本画家・東山魁夷記念館

▲筆者提供/法華経寺の大仏は千葉県最大の鋳造大仏

法華経寺から車で約5分の場所には、戦後から生涯を終えるまで市川市で活動した日本画家・東山魁夷(ひがしやまかいい)の作品を展示する記念館が開館しています。

東山魁夷は緻密な自然の描写や、写実的な光の明暗を日本画で表現した日本画家のパイオニア的存在で、20世紀の日本画を牽引した功績には従三位 勲一等瑞宝章が贈られました。

▲筆者提供/東山魁夷記念館の外観

東山魁夷記念館は2022年11月現在、老朽化に対する改修工事中のため、2022年12月末まで展示室・カフェの利用が行えませんが、2023年からは美しく改修した建物内で日本画の鑑賞・カフェでの休憩をたのしむことが可能です。

また、1Fのショップスペースでは東山魁夷の日本画を使用した絵葉書・図録が販売されているので、興味のある方はぜひこちらの施設にも足を運んでみてはいかがでしょう。

市川市東山魁夷記念館の施設情報

所在地:〒272-0813 千葉県市川市中山1-16-2(Googleマップで見る
電話:047-333-2011
アクセス:正中山法華経寺より徒歩約10分、JR総武線「下総中山駅」より車で約6分
公式サイト:市川市東山魁夷記念館
備考:京成バスシステム柏井線「下総中山駅」から「北方」バス停下車約1分

歴史の詰まった正中山法華経寺で歴史散歩を楽しもう!

▲筆者提供/正門付近の観光案内板

日蓮宗総本山、正中山法華経寺のご紹介はいかがでしたか?

法華経寺の正門の傍らには、市川市の神社仏閣を記した案内板も置かれているので、ぜひ市内の神社・寺院巡りを楽しんでみてください。

また、地元民おすすめの訪問時間帯は、午前中から午後の早い時間帯です。

お昼に参道のご飯屋さんで食事をした後、歴史的な建築や風情のある景観を眺めながら散歩していると、日蓮大聖人の息遣いが今も聞こえるような気がします。

皆さんも是非一度、正中山法華経寺でお参りをしてはいかがでしょうか。

正中山法華経寺の施設情報

所在地:〒272-0813 千葉県市川市中山2-10-1(Googleマップで見る
電話:047-334-3433
アクセス:JR総武線「下総中山駅」より徒歩約8分、京成電鉄「形成中山駅」より徒歩約5分
公式サイト:正中山法華経寺
備考:近隣に参拝者用駐輪場あり。参道付近に有料パーキング多数。

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