はじめて介護保険を利用する時は、どんなサービスが受けられるのか、どこに相談すれば良いのかなど、知らないことが意外とたくさんあります。
住んでいる地域によっても異なる特色を持つ介護保険サービス。
千葉市で介護保険を利用する前に知っておきたい、基本事項の要点を分かりやすくお伝えしていきます。
介護保険制度とは?
介護保険制度とは、介護が必要な人を社会全体で支えるために作られた仕組みです。
介護保険を利用すると、介護に関する悩み、困りごとの早期解消、ケアにかかる出費の抑制など、介護の負担を軽減することができます。
介護保険制度を利用するには申請が必要です。
制度を利用する意思を伝え、介護がどの程度必要かという審査や調査を受けたのちに、サービスの利用が可能となります。
介護保険制度の利用が必要になってきたなと感じたら、できる限り早めに窓口へ相談を開始すると、ケアする側の負担も少なくて済みます。
参考:
【千葉市】介護保険制度の利用状況
介護保険制度の具体的な内容に進む前に、千葉市ではどの程度介護保険が利用されているかについて、前知識としてご紹介します。
千葉市では4人に1人が65歳以上の高齢者という人口状況となっており、それに伴い介護を受ける人の数も年々増加傾向にあります。
2025年には団塊の世代が75歳以上の後期高齢者に、2040年には団塊ジュニア世代が65歳以上の前期高齢者となるため、介護を必要とする世代はさらに増える見込みとなっています。
将来的に介護を求める人が年々ひっ迫していくかに思える状況ですが、千葉市は全国的にみても、介護関連施設の多い地域となっています。
介護士や医療機関のスタッフも他地域と比べて、確保できている様子が伺えます。
自治体としても今後の介護需要に備えるため、さまざまな施策を行っていますので、介護状況は年々改善され、より良くなっていくのではないかと見られています。
参考:
【千葉市】介護サービスを利用するには?
千葉市で介護保険サービスを利用するには、以下のようなステップを踏んでいきます。
- 利用申請
- 認定調査を受ける
- ケアプランの作成
- 必要なサービス事業者と契約
介護の必要性を感じ動き出した日から利用できるようになるまで、早くて1カ月〜1カ月半ほどの期間がかかる場合がありますので、できる限り早めに相談・申請を行うのが吉です。
①介護保険の利用申請を行う
千葉市で介護保険制度を利用するには、住まいの区にある「千葉市あんしんケアセンター」や「保険福祉センター」へ相談・利用申請を行います。
申請は、介護保険制度を利用したいご本人、またはそのご家族が行うこととなっています。
各区の相談窓口については、記事の後半にてご紹介しておりますので、合わせてご確認ください。
②認定調査〜結果通知
介護保険の利用申請が提出されると、調査員が申請者の自宅や施設を訪問します。
現在どのような状況にあるのか、どのような悩みや困りごとを抱えているのか、どの程度の介護が必要なのかなど、お話の聞き取りが行われます。
聞き取りが完了し、医師からの意見書などさまざま方面からの調査書が揃うと、介護認定会議を開催。
この判定会議にて、介護保険制度の利用の許可や介護度の決定などが行われます。
判定会議の結果は、原則として「申請から30日以内に行う」とされているので、遅くとも1カ月以内には何らかの連絡が申請者に入ります。
③ケアマネへ依頼〜プランの作成
判定会議の結果、介護保険制度の利用が許可され、介護度が決定するとケアプランの作成へと進みます。
ケアプランの作成は、ケアマネジャーが行います。
ケアマネジャーは、通称「ケアマネ」と呼ばれ、専門的な知識を持った視点からアドバイスをくれる心強い存在です。
自宅を中心に介護していくことを考える場合は、地域を拠点に活動するケアマネへ、介護施設を利用を考えている場合には、利用したい施設のケアマネへ相談するのがスムーズです。
④サービス事業者と契約〜利用開始
希望する介護プランにより流れは異なって行きますが、ケアマネが作成した介護プランは、介護保険を利用する人と利用者の介護に関わるもの、全ての人の同意の元、決定が行われます。
ケアプランを進めるにあたって、介護サービス事業者との契約が必要であれば申し込みや契約などを行い、用具のレンタルや購入などが必要であれば利用開始の手続きを行うなど、具体的な行動へと進めていきます。
介護保険制度を初めて利用するときは、何かと勝手がつかめず不安を感じる方もいるかも知れませんが、1つひとつのステップを着実にこなしていけば、難しいものではありません。
なにかわからないことがあれば、いつでも千葉市や各区の介護窓口で聞くことができます。
無理のない介護生活を送って行けるよう、負担のないペースで進めてみてください。
【千葉市】介護保険で利用できるサービス
介護保険制度で利用できるサービスには、以下の5つの柱があります。
- ①介護に関する相談・プランの作成サービス
- ②自宅に住みながら介護を受けたい人向けのサービス
- ③介護施設を利用するためのサービス
- ④福祉用具の利用を助けるサービス
- ⑤暮らしやすいように住宅を改修するための支援サービス
具体的にはどのようなことができるのか、それぞれのサービス内容をさらに詳しくご紹介していきます。
①介護に関する相談やケアプランの作成
介護保険制度で行われているサービスのなかには、介護に関する相談の受け付け、ケアプランの作成などが含まれています。
介護保険の利用を開始していくために、欠かせない部分でもありますね。
どんなことに困っているのか、どんな状態・環境にしていきたいのか、支援員が、介護される人とその家族の悩みや希望を聞き取り、ケアプランとして具体的な対策に反映させてくれます。
②自宅に住みながら介護を受ける人のためのサービス
介護と聞くと、老人ホームなどの施設が思い浮かびやすいですが、自宅に居住しながら介護保険を利用してサービスを受けることも可能です。
介護度が低い人はもちろんのこと、住み慣れた自宅で適切な介護を受けたいと希望する人には助かるサービスです。
自宅に住む人のためのサービスは、3つの柱で成り立っています。
- ①訪問型サービス
- ②通所型サービス
- ③短期滞在型サービス
『訪問型サービス』とは、自宅に介護士や看護師などの専門員が訪れ、ケアを行っていくサービスです。
洗濯や掃除、買い物から食事の支度といった「生活援助」や、入浴や排泄の手助けをしたりといった「身体介護」。
担当医師の指示を受けた看護師が訪問し、体調のチェックや療養上の世話を行う「訪問看護」などもあります。
また、病院に通院するのが大変な人のために「居宅療養管理指導」として、医師や歯科医師、薬剤師さんなどが訪問し、診察や指導を行ってくれるケアもあります。
『通所型サービス』は、日帰りで行うデイサービス・デイケアなどに通えるようにするサービスです。
デイサービス・デイケアへの送り迎えなどももちろん含まれていて、支援員が自宅まで送迎をしてくれるので、介護する家族も介護の負担を減らすことができます。
「デイサービス」では、食事や入浴、排泄の援助といった自宅で家族が行うと負担のかかる日常的なケアを施設内で行ってくれたりするほか、同年代同士の交流、リバビリやレクを通して身体機能の低下を予防したりと、介護を受ける人が生き生きと暮らせるような援助を行ってくれます。
「デイケア」は、施設や病院などで行われ、理学療法士や作業療法士などがリハビリを行ってくれるサービスです。
デイケアを利用することで、衰えがみられていた身体機能が回復し、自立した日常生活へ近づけていくことができます。
『短期滞在型サービス』は、自宅を数日離れ、短期間宿泊できる施設にショートステイするサービスです。
家族が何らかの事情で、数日間自宅で介護できない時や、介護を少し休んでリフレッシュしたい時などにも利用することができます。
今後介護施設に入ることを検討する際、自宅とは違う環境での生活に適応できるかなどの施設入居準備の一貫として利用することもあります。
③介護施設を利用するサービス
自宅での介護が難しい時、常に専門員から適切な介護を受けたい時などは、介護施設を利用するサービスを受けることができます。
介護施設には、「特別養護老人ホーム」「介護老人保健施設」「介護療養型医療施設」といった施設があります。
介護度や心身の状況を考慮したうえで入居する施設を選びますが、満床で希望の施設に入居できない場合もあることを念頭において施設探しをするとスムーズです。
④福祉用具の利用に関するサービス
介護をするうえで「介護ベッド」や「車椅子」など福祉用具が必要な場合は、購入・レンタルに関わる費用の助成を受けることができます。
年間10万円を上限とし、費用の約1割〜3割の自己負担で、必要な福祉用具の購入やレンタルが可能となります。
全て自己負担でまかなうとなると大変なので、とても助かるサービスですね。
⑤住宅改修に関するサービス
介護が必要な状況になってきた時、心身の状態に合わせて住環境を変える必要が出てくる場合もあります。
手すりをつけたり、バリアフリーに改修したりなど、さまざまな改修がありますが、その際にかかる費用の自己負担を介護保険で軽減することができます。
介護のため住宅の改修を行う場合は、最大20万円までの範囲で補助金を支給。
支払う金額の約1割〜3割の自己負担で、必要な住宅改修を行うことができます。
金銭面でも手厚いサービスが受けられるのは、介護保険制度の大きな魅力の1つでもありますね。
【千葉市】介護の相談窓口
千葉市では、介護の相談窓口となる地域包括支援センターを「千葉市あんしんケアセンター」と呼んでいます。
介護保険制度を利用したいなと考えた時、介護に関してなにか悩みや困りごとを抱えている際には、この「千葉市あんしんケアセンター」へ相談します。
あんしんケアセンターは、
- 花見川区:6カ所
- 中央区:6カ所
- 稲毛区:6カ所
- 若葉区:5カ所
- 美浜区:4カ所
- 緑区:3カ所
に、設置されています。
センターには、「主任ケアマネージャー」「社会福祉士」「保健師」など専門知識を持った人々が常駐。
介護保険制度を利用したいと思った時、介護について分からないことが出てきた時、介護に関することであれば、どんな些細なことも快く相談に乗ってくれる頼もしいパートナーでもあります。
千葉市あんしんケアセンターで行われている業務内容は、主に以下の4つから成り立っています。
- 介護に関するあらゆる悩みごとの相談窓口<総合相談支援業務>
- 介護度が低い人への予防的支援<介護予防ケアマネジメント事業>
- トラブルや問題から守るための支援や相談<権利擁護業務>
- 介護を通してより暮らしやすくなるための支援<包括的・継続的ケアマネジメント支援業務>
地域に住む高齢者やその家族の悩みや困りごとの相談窓口となり、問題解決や緩和に向けて、適切な機関へつなげたり、具体的なアドバイスや施策の実行へとつなげてくれる役割を果たしてくれます。
身体機能や認知機能に衰えのリスクがあり、介護がより必要な状態になっていくのを防ぐため、「介護予防策」としてのケアプランの作成・提案を行うなど予防策にも力を入れています。
高齢者の方が虐待や詐欺などに合わないよう、権利擁護業務として、さまざまなトラブルの盾となってくれることも。
地域に住む高齢者とその家族のより良い暮らしのために、高い専門知識を持つ支援員がチームとなって日々奮闘してくれている場所が、「千葉市あんしんケアセンター」なのです。
千葉市6区にある「あんしんケアセンター」の詳しい所在地、連絡先、地図などについては、行政が発行する以下のPDFにてまとめられています。
最寄りのセンターがどこにあるのか知りたいときは、ぜひご活用ください。
*千葉市6区のあんしんケアセンターパンフレットPDF(各センター所在地・連絡先・地図付き)
介護保険に関する悩みQ&A
介護保険制度に関しての不安が少しでも早く解消するよう、特に疑問に思われることが多いもの3点をピックアップし、要点をまとめました。
Q1. 介護保険に更新はあるの?
介護保険の加入状況自体には、有効期間や更新作業はありません。
ただし、介護保険を利用したサービスが開始している場合には、時間の経過と共に介護度や瀬所得状況に変化がある場合があるので、介護度が決定以降に届いた「介護保険被保険者証」や「介護保険負担割合証」には有効期限が設けられています。
有効期限は保険証や割合証内に記載されていますので、よく確認しておきましょう。
有効期限前に通知を行ってくれる自治体もありますが、年々通知を廃止する自治体も増えてきているので、市の介護保険制度のニュースやお知らせなどは、時々チェックしておくと安心です。
千葉市に関しては、6月中旬を目安に更新申請の案内を郵送しています。
参考:
Q2. 介護保険料を減免したい
介護保険料は40歳になった月から、一生涯にわたって支払いが続きます。
65歳以上の方を第一被保険者、40歳〜65歳までの方を第2被保険者として、所得などに応じて支払う保険料も異なります。
主たる生計維持者に何らかの事情があり、介護保険料の支払いが厳しくなってしまった時は、減免を受けられる可能性があります。
支払いが難しくなった理由として、減免が許可されるものには、以下のようなものがあります。
- 災害で著しい損害を受けた
- 心身の健康が脅かされる事由があった
- 事業・仕事の影響等で、収入が著しく減少した
減免を受けるには、住まいの区の「保険福祉センター介護保険教室」へ相談、申請をおこないます。
コロナの影響によるものも考慮されるとなっていますので、介護保険料の支払いに困った時は、相談をしてみてください。
参考:
Q3. 被保険者証は再発行してくれる?
介護保険被保険者証が何らかの理由で、紛失してしまったり、破損してしまった場合は、再発行申請を行うことで、発行してもらうことができます。
再発行をする際は、住んでいる区の「高齢障害支援課介護保険室」に申請します。
参考:
千葉市で介護保険を利用したい時はまず相談を
千葉市で介護保険制度を利用したいとき、悩みごとや困りごとがあるとき、まずは最寄りのあんしんケアセンターに相談することからはじめてみてください。
専門的知識を持った方々が、親身に話を聞き、適切な対処へとつなげていってくれます。
大切な人の介護がある暮らしが、少しでも楽しいものになりますように。