千葉県流山市にある「森の美術館」は学校の多いエリアにひっそりと佇む、知る人ぞ知る小さな美術館。年に3〜4回企画展や所蔵展を行い、芸術に触れる機会を提供してくれる貴重なアートスポットです。流山市は住みやすく移住先として人気の場所。そんなエリアの美術館とはどんな場所なのか、その魅力や様子を実際の体験ルポで紹介していきます。
【流山市】森の美術館とは?どこにあるどんな場所?
森の美術館は、流山市にある、コンクリ造りのシンプルな建物が印象的な美術館です。
無駄なものがない造りに芸術的センスを感じ、館内へ入る前から「どんなアートに出会えるのだろう」という期待感が高まるような外観をしています。
美術館の周りを取り囲むように、たくさんの木々が生えていて、自然も豊か。
青空に映える木々の緑と、モダンな美術館とのコントラストが素晴らしくて、「なんて素敵な場所なのだろう」と思わずしみじみしてしまうほどです。
場所は、つくばエクスプレス・東武アーバンパークラインの「流山おおたかの森駅」から、20分ほど歩いた所にあります。
流山おおたかの森駅からは市内を循環するバスも出ているので、徒歩以外の方法で向かいたい方は、バスの利用が便利です。
住所は、流山市大字大畔(おおぐろ)。
周囲には、数年前に建てられたというおしゃれな校舎の「おおぐろの森中学校」や「おおぐろの森小学校」があり、のどかながらも洗練された雰囲気が漂っています。
館内はワンフロアのこじんまりとした空間ですが、目の前の絵の世界にグッと入り込んでいける静かな環境。
人で混み合うこともなく、終始落ち着いた気分でアートを楽しむことができます。
【流山市】森の美術館の魅力や内部を詳しく紹介!<体験ルポ>
森の美術館に実際に足を運んでみると、ネット上で情報を見ていただけでは感じられないさまざまな感覚を味わうことができました。
流山市にある森の美術館に興味がある方、これから行ってみたいなと考えている方の参考になれるよう、筆者が体験してきたことをさらに詳しくお伝えしていきます。
①周辺はのどかながらも洗練された街並み
冒頭でも触れましたが、森の美術館の周辺には小学校や中学校といった学びの場が立ち並び、粛々とした雰囲気が漂っています。
美術館にいらした館長の森さんによると「ほんの2〜3年ほど前は周囲に何もなく、森と切り拓いた畑がどこまでも広がっているような場所だった」のだそう。
そこに建てられた小中学校は、デザインにこだわったという洗練された校舎で、こんな学校で日々を過ごせる生徒さんを羨ましく感じられるほどでした。
こうした周囲の環境が、絵を見る前の気分をまた高めてくれます。
学生さんたちの学びの空気が辺り一帯に漂っているせいなのか、シャンとした雰囲気に、ぶらり絵を見に来たこちらの背筋も伸びるような気がしました。
②コンクリ作りのモダンな外観がおしゃれ
森の美術館の建物は、無機質なコンクリート造り。
余計な装飾や色付けが一切ない、本当にシンプルな作りで、それがまたおしゃれに感じるのです。
ここが美術館だとアピールするような派手派手しい看板も宣伝もないので、知らずに通ったら、何の建物だか分からないまま通り過ぎてしまいそうだと感じました。
歩道から敷地内へ、遊歩道を数メートルほど歩いた先にある建物の入り口横に、ようやく「森の美術館」と書かれたプレートが。
5分あれば一周できてしまいそうなほど、こじんまりとした敷地ですが、丁寧に手入れされた庭先はとても居心地の良い雰囲気。
美術館に入る前に「もう少しこの静かな庭を味わいたいな」と、つい足を止めてしまうほど、穏やかで平和な空気が流れている場所でした。
美術館のモダンな外観や庭を写真撮影したり、入り口前に置かれている案内板を眺めてみたり・・・。
留まっている理由を少しでも見つけたくてキョロキョロしていると、中から優しそうなスタッフさんが出迎えに来てくれました。
③人物や風景の油絵を20数点展示
まだ予約した入館時間には少し早かったのですが、「中へどうぞ」とにこやかに迎え入れて下さり、親切丁寧な対応に感動しながら館内へ入りました。
森の美術館は、新型コロナウイルス対策のため、2022年12月現在は事前予約制となっています。
空いていれば当日でも予約が取れるので、思いつきで足を運んでみたくなったら、お出かけ前に観覧できるかどうかの確認をお忘れなく。
森の美術館では、年に3〜4回ほどのペースで企画展・所蔵展を行っており、その時々でしか出会えない貴重な絵画を鑑賞することができます。
筆者が訪れた日は「倉島重友展」が開催されていた時期でした。
倉島重友先生は、東京藝術大学大学院で日本画を専攻された知る人ぞ知る作画家さん。
繊細なタッチと淡い色彩で描かれる絵は、緻密で美しく、観入ってしまうものばかり。
描かれている人物の生きてきた歴史や想いまでも垣間見える気がして、しばらくその場に固まったまま、頭の中であれやこれや思いを馳せてしまうのでした。
作品が展示されるスペースはワンフロアのみですが、常時20数点ほどの作品が展示されています。
展示スペース入り口にある絵から順番に、1つひとつなぞるように鑑賞していると、突如、ハッとさせられるスペースが出現。
外の景色が見える、とても細長い窓です。
まるで1つの作品かのように作られた窓の向こうに見えるのは、森の美術館の後ろにそびえる竹林。
見える景色も芸術的だなと感動を覚えつつ、その光景を楽しませてもらいました。
作品を一通り鑑賞させていただいたら、今度は気になった絵をもう一度見に行く時間。
ワンフロアな展示スペースのおかげで、見たい絵にすぐに辿り着くことができます。
あっちを見て、こっちを見て、気の向くまま気分の赴くまま、自由自在に何度も絵を眺める。
こんな自由な鑑賞を楽しめるのも、魅力の1つなのではないかと感じました。
④アート鑑賞の後にはカフェでゆったり
森の美術館には、小さいながらもしっかりカフェスペースがあります。
筆者が訪れた時期はコロナ対策のため、カフェスペースでのコーヒーやお茶菓子の提供が中止となっていましたが、今後の社会状況によっては再開されることもあるかと思います。
カフェスペースが一時休止となる前は、観覧後にコーヒーや紅茶といった飲み物と、ちょっとしたお茶菓子がいただけるようになっていました。
コーヒーやお茶菓子などの代金は、入館料に含まれているため別途支払う必要はありません。
とはいえ、入館料も大人600円とかなり良心的な価格。
これでコーヒーやお菓子、ゆったり味わう時間までついてくるのだから、お得すぎて申し訳ないくらいです。
カフェスペースは、壁面の一部が大きな窓になっているので、採光も抜群。
窓からはお庭が見えるようになっているので、のどかな自然を眺めながら癒しのひと時を過ごすことができそうです。
絵画鑑賞の後に沸き起こるさまざまな感情や想いを、このカフェスペースでお茶を飲みながらじっくりと味わい、心の肥やしに変えていく。
そんな贅沢な過ごし方ができる場所なのだなと、感じました。
⑤森のコンサートなどイベントも開催される
森の美術館の楽しみは、絵画鑑賞だけにとどまりません。
カフェスペース同様、現在は新型コロナウイルスの影響で一時中止となっていますが、毎年「森のコンサート」をはじめとするイベントも開催されていました。
過去には、ジャズフェスティバルとタイアップしたジャズコンサートや、ソプラノ歌手の美声を聞きながら美味しいワインとちょっとしたお食事が楽しめるコンサートなど、毎年趣向を凝らしたイベントが行われてきました。
また、「森のコンサート」以外にも、地元の子どもたちの芸術活動を応援する目的で、子どもたちの作品を展示したイベントやワークショップも開催。
美術館を、静かに芸術鑑賞を楽しむ大人だけの場所と限定せず、地域の方と一緒になって、さまざまな視点から芸術を親しめる場所として、存在しているのだなと感じました。
【流山市】森の美術館へ実際に行った感想・口コミ
今回、森の美術館に初めて訪れてみて、忘れかけていた大事な感覚を少し取り戻せた気がしました。
時間に追われるような慌ただしい毎日を過ごしていると、心を落ち着けて物事をじっくり考える感覚や、素直に驚き感動する心を、すっかり忘れてしまうことがあります。
時間を1分でも無駄にしないように、ただただ効率を求め、無駄や余白をまるで悪いもののように扱ったり。
森の美術館で、枠の中の絵が訴えているものを一生懸命に汲み取ろうとしている内に、「感動することすらしばらく自分に許していなかったな」とか、「こうしたゆっくりな時間を大切にすることが、幸福感に繋がっていくのだな」など、多くのことに気付くことができました。
絵画鑑賞に関してはズブの素人ですが、「絵を見る」ことへの効果から、世の中から「芸術」が消えず、むしろどんどん価値を高めている理由も、少なからず理解できた気がします。
流山市にある森の美術館はとても小さな美術館ですが、この場所が存在していて、そして足を運ぶことが出来て、本当に良かったなと感じる1日となりました。
筆者が森の美術館に感じた、素直な感想は上記のようなものですが、その他の訪れた方々はどのように感じているのでしょうか。
第三者の感想も聞いてみたいと思い調べて見ると、以下のような口コミが見つかりました。
流山にある美術館です。とても流山らしい景色のある所で大変緑が多いのでマイナスイオンがいっぱいあるという感じのところです。美術館自体は個人で運営されているということで、「600円で少し高いですがコーヒーなどもいただけるのでゆっくりと広々とした敷地を散歩する漢字で行くのがいい。基本的には日本の画家の展覧をイベントとしてしている感じです。
引用元:トリップアドバイザー
静かに絵や雰囲気を楽しむのにとても良いところ。
引用元:Googleマップ 森の美術館
こじんまりとした展示スペースと窓から見える竹林が素敵な空間だと思います。
コロナの影響で喫茶はなしで代わりに帰る際にミネラルウォーターをいただきました。
森の美術館は、小さいながらも「良い場所だな」と感じる方が多いようです。
モダンでおしゃれな建物・緑豊かな景観・粛々とした雰囲気に、心を揺さぶる芸術作品、どれもが心にプラスに作用して、とても気分の良くなる場所だと筆者も思います。
【流山市】森の美術館は心洗われる癒しの穴場スポットだった
流山おおたかの森駅から歩いて20分、バスでは7分ほどの場所にある「森の美術館」。
森と畑しかなかった場所にポツンと建てられた小さな美術館は、いつの間にか、人々の憩いの場所として、存在感を放つようになりました。
普段の生活では見る機会のない作品に出会うことができるのはもちろんのこと、心にたくさんの栄養を与えてくれる場所です。
いつもの毎日に少し疲れてきたなと感じたら、たまには時間を取って芸術鑑賞に出かけてみませんか。
まるで心の洗濯をしたかのように、晴れやかな気分を感じられることと思います。
施設名称:森の美術館
住所:千葉県流山市大字大畔315(Googleマップで見る)
電話:04-7136-2207
開館時間:午前10時〜午後4時(最終入館15時30分まで)
休館日:月・火曜日
アクセス:
<電車>
①つくばエクスプレス・東武アーバンパークライン「流山おおたかの森駅」より徒歩20分
②「流山おおたかの森駅」より、東武バス西口ロータリー2番のりばから「南流山駅・クリーンセンター行」に乗車、「大畔」停留所下車し徒歩5分
<車>常磐自動車道「流山IC」より6分 駐車場あり(無料・7台まで)
公式サイト:森の美術館