小学生から中学生、高校生までを対象として全国的に展開されている「放課後デイサービス」。
放課後デイサービスとはそもそもどんなものなのか、利用資格のある対象者や、利用開始するまでの流れ、負担費用など、放課後デイサービスを知るために必要な基本情報を、分かりやすくご紹介していきます。
放課後デイサービスとは?
放課後デイサービスとは、福祉サービスの1つで、発達につまずきや特性のある子どもや、障害のある子どもとその保護者をサポートする通所施設のことをいいます。
2014年4月に行われた児童福祉法改正で整えられました。
放課後デイサービスには以下のような機能があります。
- 日常生活を営むのに必要な訓練を行なう
- 学校や家庭以外での居場所となる
- 困りごとを解消し生きづらさを軽減する手助けとなる
また子どもを育てる保護者にとっても、以下のようなメリットを得ることができます。
- 悩み相談による困りごとの解消
- スムーズな子育てに近づけるペアレントトレーニングを受けられる
- ケアの代行による時間の確保
放課後デイサービスは、療育手帳や障害者手帳などがなくても、医師の診断書があれば利用が可能となっています。
放課後デイサービスという名から、平日の午後以降しか利用できないのではというイメージを持たれることが多いですが、土日や夏休み・冬休みといった長期休みにも開いている施設がたくさんあります。
放課後デイサービスと療育は違う?
子どもたちの発達支援の中で「療育」という言葉が頻繁に登場しますが、放課後デイサービスと療育の違いについて疑問を持たれる方も多くいらっしゃいます。
療育という言葉は元々、「身体障害のある子どもへの治療」と「身体障害のある子どもへの教育」を合わせたアプローチを表す用語として使われてきました。
現在「療育」という言葉は、発達につまずきや特性のある子どもたち、障害のある子どもたちを支援する働きかけの総称として使われることが多くなっています。
つまり「療育」=「発達支援」は、ほぼ同義語として使われているということですね。
放課後デイサービスは、発達につまづきのある子ども、障害を持っている子どもたちを支援する場として展開されていることから、「療育を行う施設の1つ」ということができます。
放課後デイサービスを受けられる資格がある人・対象者
放課後デイサービスを受けられる資格・対象者は、以下のように定められています。
- 小学生・中学生・高校生の7歳〜18歳になるまで
- 保護者と専門的知識を持つものにより利用の必要性が認められた児童
基本的には、高校卒業となる18歳までとされていますが、例外として18歳を過ぎても必要性があると認められた場合には、最大20歳まで利用を継続することができます。
厚生労働省では、放課後デイサービスを受けられる資格がある対象者を、以下のように定めています。
- 学校教育法に規定する学校(幼稚園、大学を除く)に就学している障害児
放課後デイサービスではどんな支援を行ってる?
放課後デイサービスでは、一人ひとりの特性に合わせ作成された個別支援計画を元に、実際に行うプログラムを決定し、支援として行っていきます。
利用者全員に一律の支援を行うわけではないのですね。
放課後デイサービスで行われているプログラムには、以下のようなものがあります。
- ソーシャルスキルプログラム
- 学習支援プログラム
- 創作活動プログラム
- パソコンを用いたプログラム
- 運動機能向上のプログラム
- 音楽スキルを高めるプログラム
このようなプログラムを通して、支援が必要な部分の機能向上や困りごとの解消を図ります。
家から施設までの送迎・学校から施設までの送迎などを行っている施設も多く、通所の負担を最小限に抑えながら利用することができるのも、ありがたい支援の1つです。
各施設では、支援プログラムを実行するだけでなく、子どもたちがくつろげる第2・第3の居場所となれるように、子どもたちに親身に寄り添った対応をしてくれるのも嬉しいところ。
コミュニケーションを取りながら、日々の様子を細やかに観察し、小さな変化も見逃さないよう配慮してくれます。
子どもを通わせる保護者への支援も忘れません。
今日はどんな様子だったのか、支援を行ってどうだったのかなど、日々細やかなフィードバックが行われ、子どもの変化を把握できるように努めてくれます。
生活していく中で新たに起きてきた悩みや困りごとにおいては、相談窓口として保護者の話を真摯に傾聴。
放課後デイサービスを利用する親子の悩みや困りごとが早期に解消できるように、社会生活が少しでもスムーズに営めるようにと、並走し力を注いでくれる頼もしい存在なのです。
放課後デイサービス利用の費用は?
放課後デイサービスは社会福祉サービスの1つなので、受給者証が発行されれば、1割の負担で必要なサービスを受けることが可能です。
また所得により負担額の上限も決まっているため、金銭面の負担を最小限に抑えながら支援を受けられます。
具体的には、以下のようにルールが定められています。
- 利用した日数に応じた1割負担分の利用料を支払う
- 前年度の所得により、保護者がひと月に負担する額の上限が決まっている
- 利用する日数が多くても、決められた金額以上の負担は発生しない
- 自治体によっては独自の助成金がある場合もある
- 給食やおやつなどの食費や、教材費などの実費が発生する場合もあるが、さまざまな負担軽減措置がある
所得ごとに設けられている保護者の負担上限は以下のようになっています。
<所得ごとの負担上限・月額>
- 生活保護受給世帯・市町村民税非課税世帯: 0円
- 市町村民税課税世帯(年間収入がおおむね890万円以下の世帯): 4,600円
- 上記以外(年間収入がおおむね890万円を超える世帯): 37,200円
費用をできる限り抑えながら、支援を受けられるのは本当にありがたいことですね。
放課後デイサービスを利用するまでの流れ
放課後デイサービスの利用を考え始めてから、実際に施設・サービスを利用するまでの流れは以下のようになっています。
- 窓口へ相談
- 利用してみたい施設の見学や体験
- 障害児支援利用計画案の作成
- 申請書提出
- 調査・審査
- 受給者証の発行
- 障害児支援利用計画を作成
- 施設との契約手続き・利用開始
1.窓口へ相談
子どもの成長に関して悩みや困りごとがあったり、何らかの支援の必要性を感じ、放課後デイサービスの利用を考え始めた際には、居住する地域にある相談窓口へ話して見ることが、問題解決への第1歩となります。
相談受付は、自治体の「福祉担当窓口」や「障害児相談支援事業所」などが行っています。
放課後デイサービスの利用を考えている方は、相談窓口でサービスを利用したい旨を伝えます。
2.利用してみたい施設の見学や体験
利用してみたい放課後デイサービスがある場合には、施設の見学や体験にも行ってみます。
施設に空きはあるのか、どのような支援を行う施設なのか、雰囲気や通いやすさ、子どもとの相性などを考慮のうえ、希望施設を決めていきます。
3.障害児支援利用計画案の作成
放課後デイサービスを利用していく意向が固まってきたら「障害児支援利用計画案」というものを作成してもらいます。
計画案の作成方法は主に2通りあり、以下のようになっています。
- セルフプランとして保護者が主体になりながら、支援者のサポートを受けて作成する方法
- 市区町村にある相談支援事業所に、聞き取り調査をしてもらい作成する方法
自治体によっては、保護者が作成した障害児支援利用計画案は受付対象外となっている場所もあるため、居住地域のルールを事前に確認しておくとスムーズです。
4.申請書提出
障害児支援利用計画案ができたら、「障害児支援利用計画案」に「障害児通所給付費支給申請書」を添えて、自治体の相談窓口に提出します。
5.調査・審査
保護者より計画案と申請書が提出されると、利用対象にあたるのか、また利用する場合にはどれくらいの支援が必要かなどの調査や審査が行われます。
医師など専門的知識を持つ第三者の意見書も踏まえ、さまざまな観点から利用の可否や詳細が検討されます。
6.受給者証の発行
調査や審査の結果、利用の必要性が認められると、受給者証が発行されます。
7.障害児支援利用計画を作成
受給者証が発行された後、先に作成した「障害児支援利用計画案」を元に、「障害児支援利用計画」を作成します。
「障害児支援利用計画」は、自治体が指定する「指定特定相談支援事業者」または「指定障害児相談事業者」の相談支援専門員が作成します。
8.施設との契約手続き・利用開始
「障害児支援利用計画」が完成次第、利用したい施設との契約手続きを行います。
契約手続きが完了後から、実際に施設の利用がスタートします。
また、すでに受給者証を持っている場合には、施設の見学体験などを行った後、すぐに施設との契約へ進むことができるようになっています。
何かとやることが多いように感じますが、1つひとつステップを踏むように進めていけば、難しいことはありません。
支援を行ってくれる方々も、常時サポートしてくれますので安心して取り組んでいくことができます。
放課後デイサービスにはどんな施設がある?
放課後デイサービスにはどのような施設があるのか、実際に利用する子ども、そしてその子どもたちを通わせる保護者からも高い評価を得ている代表施設を2つご紹介します。
放課後デイサービス「かがやきのまち」
「かがやきのまち」は、千葉市、船橋市、習志野市エリアを中心に、地域密着型の支援に力を入れるドットライングループが運営する、児童はったつ支援施設、放課後デイサービス施設です。
子どもたちの小さな「できた!」を大切に、課題・問題解決に向けて、寄り添うような支援を展開。
「楽しく体験!」をモットーに工夫を凝らした支援を行っています。
利用するようになってから、以前より前向きに意欲的に物事に取り組んでいけるようになったと保護者から高い評価を集めています。
実際に通っている子どもたちからも「かがやきのまちでの時間が大好き」と、家庭や学校以外で、リラックスして自分らしく過ごせる第2・第3の居場所として、大きな信頼を集めています。
千葉市エリアでは「かがやきのまち」の名で、船橋・習志野市エリアでは「ノビルキッズ」という名で施設を運営。
学校から施設、家庭から施設の送迎サービスも行っており、通いやすさ継続のしやすさは申し分ない支援施設です。
千葉市、船橋市、習志野市エリアで、放課後デイサービスの利用を考えている方は、ぜひ気軽に見学・体験に訪れてみてください。
当初思っていたよりもずっとオープンで気さくで、もっと早く利用してみれば良かったと感じることがたくさんあるはずです。
放課後デイサービス「LITALICOジュニア」
児童発達支援施設、放課後デイサービス施設を運営する企業として、もう1つ代表的なのが「LITALICO」です。
LITALICOは「障害のない社会をつくる」をビジョンに、幼児教室・学習塾などの教育サービス・就労支援事業を展開。
療育の必要な0歳児〜18歳までの子どもたちの支援を行っています。
放課後デイサービス部門については、社会福祉法の範囲で利用できるスタンダードコースと、月額費用はあがりますが、子どもの特性により合わせて授業をオーダーメイドできるパーソナルコースの2コースあります。
明るくポップな教室は子どもたちに安心感を与え、楽しく取り組める雰囲気。
駅近くなどに教室があることも多く、利便性の面からも全国的に人気の高い支援施設です。
参考:LITALICOジュニア
放課後デイサービスの選び方
放課後デイサービスを利用するなら、子どもにとって居心地がよく「行きたい!」と思ってくれる施設を選びたいもの。
放課後デイサービスの施設を選ぶ際、どのような点に注意して施設を選べば良いのかポイントとなるものは、以下のような点です。
- どのような支援プログラムを行っているのか
- 施設全体の雰囲気・環境
- 支援スタッフの雰囲気・人柄・意欲
- 通いやすさ、続けやすい環境かどうか
まず気になるのは、どのような支援プログラムを行っているかという点。
自分の子どもに必要な支援は実施されているのか、プログラムの詳細や実際の様子などを、見学や体験にいった際に確認できると、利用開始後もスムーズです。
プログラム内容もさることながら、もっとも大事にしたいのは、施設や支援スタッフといった環境面。
どんなにプログラム内容が良くても、施設環境がよくなかったり、支援スタッフさんの対応に気になる点があると、利用の継続はもとより、本来の目的である困りごとの解消が達成できなくなってしまいます。
施設の雰囲気や内部外部の環境、支援スタッフさんの雰囲気や人柄、支援への意欲などもチェックできると良いですね。
また、施設は毎日の中で利用するものですので、通いやすい環境か、続けやすい環境かという点もとても重要です。
親子にとって1番ベストな施設を選べるよう、見学や体験などを利用してできる限りの確認を行ってみてください。
放課後デイサービスを利用している人の声
放課後デイサービスを実際に利用している方々はどのようなことを感じているのか、また実際利用してみてどんな変化があったのかなど、利用した方々の声もご紹介します。
利用を迷っている時の参考になれば幸いです。
「すごく褒めてくれるので、のびのび過ごせているようです。嫌なことにも挑戦したり、苦手だった宿題も済ませて帰ってきたり、成長しているのを感じ嬉しく思っています。」
「放課後デイサービスは、相談できる場所、子供の逃げ道になる場所として利用し始めました。子どもは楽しく通えているようで、嫌がらずに継続利用できています。親自身も相談出来る場所があるのはとても良いことだと感じました。」
「2ヶ所通っていますが、施設によって実施する内容が違うことに驚きました。複数見学・体験に行き、子どもに合うなと感じるところが良いと思います。」
「自宅の近くにある施設を利用しています。行き始めは行きたくないと言っていましたが、自分のことを理解してくれる場所だと感じてきたようで、休まずに継続できています。利用し始めてから、少しづつ変化していくのを感じました。子どもの行動や情緒も、学年が上がるごとに落ち着いてきたように思います。」
「パイプラインをたくさんもって、うまく利用することが大切だと思いました。思い切って利用してみて、悩んでる時間はもったいなかったなと初めて気がつきました。」
放課後デイサービスを利用する前は、ほとんどの保護者さんに何らかの不安があったようですが、実際に利用してみると、思っていたよりも事態は好転し「利用してみて良かった」と感じている方が多くいらっしゃいました。
中には、1つの放課後デイサービスだけでなく複数の施設を利用し、子どもにとって居心地のいい施設を探すという方や、飽きないように両方使い続けるという方もいました。
多くの方の感想に共通しているのは、悩んで行動が止まってしまうよりも、見学・体験だけでもいいからまずは利用してみようという気持ち。
家庭や学校では突破できなかったことも、支援の手を借りれば、解決の糸口が見えるかも知れません。
放課後デイサービスの見学・体験に行ってみよう
子どもの成長を見守る中で何か「気がかりなこと」が出てきたら、最寄りの相談窓口へ気軽にお話をしてみてください。
街中にある放課後デイサービスの中でも、直接の相談を受け付けているところもあります。
放課後デイサービスを実際に見学したり、体験教室を受けてみると、困りごとの早期解決の糸口になります。
見学や体験に行った際には、どのようなことが行われているのか、子どもの未来の可能性が広がることに繋がりそうかなど、よくよく検討してみてください。
何も動かなければ同じ景色が見えるだけですが、いつもとは違う方向へ向いてみるだけでも、見える景色がグンと変わります。
子どもさんと保護者さんの未来が、今よりももっともっとより良い方向へ向かっていくのを願っています。