まだまだ完全ではないものの以前に比べると、現在は障害がある方に対して、生活の中での困りごとや、就労や仕事に関しての支援やサポートも行える制度が充実してきました。
障害がある方に対して社会へ出るための能力や技術を高める訓練を行ったり、入浴や排泄などの介助を行うことを『障害福祉サービス』と言います。
では、『障害福祉サービス』とはどのようなサービス内容になるのでしょうか?
今回は障害福祉サービスの一覧から、対象となる方についてご紹介します。
是非参考にしてください。
1.そもそも障害福祉サービスとは?
障害福祉サービスとは、障害者のための支援について定められている障害者総合支援法で決められている支援やサポートを行うサービスの事になります。
障害者に対するサービスとして、生活を送る上で必要になる動作や仕事に関する能力を身につけたり向上させるための訓練を提供する『訓練等給付』と、介護サービスである『介護給付』に分かれます。
障害の程度や得手不得手は人それぞれで、同じ障害であっても必ずしも同じ支援やサポートが必要とは限りません。
人によって、障害が同じであっても必要な支援は異なりますので、個人にあった支援を行っていくことが大切になります。
障害者福祉サービスを利用するためには、障害の程度がどのくらいか、どういった支援が必要になるかなどを考慮し利用することになります。
では『介護給付』と『訓練等給付』とはどのような内容でサービスがあるのでしょうか?
『介護給付』
介護給付は、先ほど紹介した様に介護に関するサービスを受ける時に支払われる保険給付のことを言います。
介護がどの程度必要になるかという程度を定めるための要介護認定を受けた場合に、利用することが出来ます。
それぞれの要介護認定によってどの程度の給付を受けられるかが変わってきますが、原則としては要介護認定を受けた場合には利用料は1割になり、後の9割は介護給付から支払われることになります。
介護給付の対象となるサービス内容は以下になります。
・居宅介護支援 ・居宅療養管理指導
・訪問介護 ・デイサービス(通所介護)
・訪問入浴介助 ・デイケア(通所リハビリテーション)
・訪問リハビリテーション ・夜間対応型訪問介護
・ショートステイ(短期入所生活介護・短期入所療養介護)
・特定施設入居者生活介護 ・認知症対応型通所介護
・福祉用具貸与・福祉用具販売 ・小規模多機能型居宅介護
・介護福祉施設サービス ・定期巡回、随時対応型訪問介護看護
・介護保健施設サービス ・複合型サービス
・特定介護サービス
・介護療養型医療施設
・地域密着型特定施設入居者生活介護(短期入所)
・認知症対応型共同生活介護(短期利用)
・地域密着型介護福祉施設サービス
『訓練給付』
障害がある方が、自立した生活や社会生活を送れるように就労に関する知識や技能を習得したり、生活能力を向上させるために訓練を行う際に給付されます。
訓練給付で利用できるサービス内容は以下になります。
・機能訓練、自立訓練 ・就労移行支援
・A型就労継続支援(雇用型) ・B型就労継続支援(非雇用)
・グループホーム(共同生活援助) ・宿泊型自立訓練
・就労定着支援 ・自立生活援助
2.障害福祉サービスの対象となる障害は?障害があればだれでも利用できる?
障害福祉サービスは、障害者総合支援法によって定められた障害を抱えた方が対象になりますが、支援が必要な場合には利用することができます。
障害者手帳を持っていないと利用出来ないのではなく、障害者手帳を取得していなくても支援が必要と判断されると障害福祉サービスを利用することができ、介護給付や訓練等給付を支払われることとなります。
障害者総合支援法で定められている障害とは以下になります。
・身体障害者福祉法第4条で規定された18歳以上の身体障害者
・知的障害者福祉法で定められた18歳以上の知的障害者
・精神保健及び精神諸具合者福祉に関する法律第5条に規定された18歳以上の精神障害者(発達障害も含む)
・難病(治療方法が確立していない疾患、その他の特殊の疾患で政令に定めるものによる障害の程度が厚生労働大臣が定める程度)のある18歳以上の人
このように、障害者総合支援法で上記の障害があると定められた方は障害福祉サービスを利用することが出来ますが、18歳以下であっても障害児と認められた場合には児童福祉法に基づきサービスを利用出来ますので、18歳以下で利用したい場合にはまずは自治体へ問い合わせをして確認してみましょう。
3.障害福祉サービスの一覧
障害福祉サービスには多くのサービスがあります。
介護給付、訓練等給付どちらも同じ障害福祉サービスに含まれますが、実際にはどのようなサービスになるのでしょうか?
障害福祉サービスの内容について簡潔にまとめました。
【介護給付のサービス内容一覧】
日常生活の中で必要となる支援やサポートを提供するのが、介護給付によるサービスです。
自宅へ訪問し支援を行ってくれたり、外出の際に必要となる支援を行うなど様々なサービス内容があります。
介護給付によるサービス内容は以下になります。
居宅介護支援
障害があるものの自宅で生活を送りたいという方に対して、必要な支援を行います。
居宅介護支援の場合は、自宅で行いますのでホームヘルパー等が自宅へ訪問し、入浴や食事の介助といった身体介護から、買い物や調理のサポートといった家事援助等の支援を行っていきます。
障害がある方も住み慣れた場所で生活をしていくために、最適な支援を行っていくサービスです。
ショートステイ(短期入所生活介護・短期入所療養介護)
介護を自宅で行っているものの、冠婚葬祭や病気、休暇を過ごすために短期間施設へ入所して過ごします。
排泄や食事といった支援はもちろんのこと、その人にとって必要な支援を提供して過ごすことが出来ます。
同行援護
視覚障害者の方が外出したり移動を行う時に必要な支援や援助を行います。
行動援護
障害により危険の回避や判断が難しい方が外出を行う時に、危険を回避するために必要な支援や援助を行っていきます。
療養介護
医療的なケアと、常に介護を必要としている方に対して、定められた医療機関で機能訓練や看護、療養の管理、日常生活を送る時の世話などを行います。
生活介護
常に介護を必要とする方に対して、昼間に入浴や排泄、食事の支援を行います。
また、それ以外にも創作的活動や生活活動の機会を提供し、自立した生活や生きがいを見つけるサポートを行います。
重度障害者等包括支援
介護を必要としている方の中でも、特に介護の必要性が高い方に対して、居宅介護といった複数のサービスを包括的に行っていきます。
施設入所支援
障害者支援施設に入所している方の中でも、夜間や休日に支援を必要とする方へ入浴や排泄、食事といったサポートを行います。
【訓練等給付のサービス内容一覧】
地域社会の一員として生活を行っていくために必要となる支援やサポートを行うだけでなく、維持や向上しなければならない生活上のスキルを訓練していくことが出来るサービスです。
訓練等給付のサービス内容は以下になります。
自立訓練(機能訓練、生活訓練)
自立した生活を送るために必要になる身体の機能や、生活能力の維持や向上を目指して行われる訓練になります。
機能訓練は身体障害の方が対象になり、身体の機能の向上や維持をするためのリハビリテーションを行いますが、生活訓練は知的障害や精神障害の方が生活スキルを向上、維持するための訓練を行います。
就労移行支援
一般企業で仕事を目指す方のために、必要な知識や技術、能力を身につけるための職業訓練をはじめ、就職活動を側で支えていきます。
就職をスムーズに行うための支援だけでなく、就職をした後もしっかりと働くことが出来るように支援を行います。
就労継続支援(A型・B型)
一般企業で働く際に支援が必要な場合に、どういった就職する場があるかを紹介したり、就職するための知識や能力を向上させるための訓練を行います。
A型は雇用契約を結んで行いますが(雇用型)、B型の場合には雇用の契約を結ばずに働くことになります。(非雇用型)
自立生活援助
支援してくれる施設等から卒業し自立した生活を送っている方の自宅へ訪問し、必要な支援などを行います。
グループホーム(共同生活援助)
自宅や施設で生活をするのではなく、支援を受けつつも一人で暮らしていく場合に少人数で一緒に生活を行うグループホームで暮らす人に対して支援やサポートを行います。
日中は仕事を行ったり、作業や訓練を行っていき、一人暮らしを行えるようになることを目標としていきます。
就労定着支援
就労移行支援などを通じて、就職を行い仕事をスタートしたものの、仕事の方法や働き方に関してつまづいてしまった場合に行う支援を指します。
就労全般に関してのサポートを行います。
◆代表的な障害福祉サービス一覧
介護給付
-訪問系
居宅介護/重度訪問介護/同行援護/行動援護/重度障害者等包括支援
-日中活動系
ショートステイ(短期入所)/療養介護/生活介護
-施設系
施設入所支援
訓練等給付
-居住支援系
自立生活援助/グループホーム(共同生活援助)
-訓練系、就労系
自立訓練(機能訓練)/自立訓練(生活訓練)/就労移行支援/A型就労継続支援/B型就労継続支援/就労定着支援
(引用参考:厚生労働省『サービス体系』摂津市『介護給付、訓練等給付事業より』)
このように、障害福祉サービスには多くの種類があり、それぞれ必要とする支援に対して利用します。
利用者は必要に応じて障害福祉サービスを組み合わせていき、最適な支援を受けよりよい環境を築くことが出来ます。
介護給付と訓練等給付に関してはこのようにサービス内容が定められていますが、実際には障害福祉サービスは広い意味として捉えることも多くあり、他の支援やサポートに関しても障害福祉サービスという言葉を使用する場合がありますので、どういったサービス内容があるか等はケアマネジャーがいる場合にはケアマネジャーに、もしもケアマネジャーがいない場合には自治体の障害福祉窓口へ連絡して相談してみましょう。
4.まとめ
障害者総合支援法で定められている障害福祉サービスですが、基本的な理念としては利用者が生活の中で困っていることに対して必要な支援やサポートを行うことで、暮らしやすい環境や地域社会への進出を行えるように配慮していくことになります。
そのために、生活の中の介助であったり、生活能力や社会能力の向上を図るために訓練を行なっていくことが求められます。
少しでも生活の負担を減らし自分の想う人生を歩めるように、生活の質を向上したり、自立への一歩へするために障害福祉サービスの利用を検討してみましょう。
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